藤原ヒロシと株式会社ポケモン、お互いが得たもの
皆川 「新しいことにイエスを出して寄り添う」って、めちゃくちゃ苦痛というか、大変ですよね。
鹿瀬島 そうですね。僕らは株式会社ポケモンという、ポケモンしかやっていない会社なので、ポケモンを長く続けることが会社の目的なんですよ。なので、常に新しいことや面白いことをやっていかないと終わるよね、というのが根底にあって、こういうことを言うんだろうなと。
皆川 ヒロシさんにとって、クライアントサイドのこういった姿勢はどうですか。
藤原 あまり気にしたことがないんですけど、いいこともあれば、悪いこともあるのかな。これをあまり大きな声で言っちゃうと、断りづらいことがたくさん出てくる。
鹿瀬島 そうですね。
皆川 確かにコンテンツが一つしかないんですもんね。
鹿瀬島 そうなんです。いつもは本当に監修が厳しい会社と思われています。
皆川 最後に、このプロジェクトでお互いが得たものについて教えてください。
藤原 僕はファミリー層だったり子どもだったり、自分の認知度がよくも悪くもすごく高くなりました。
皆川 鹿瀬島さんは?
鹿瀬島 いろいろ事例の紹介がありましたけど、2018年から5年ほどヒロシさんと取り組みをして、今ってファッションの中にポケモンがわりと当たり前に存在しているのが見えるようになりましたし、ラグジュアリーブランドとポケモンが何かやるとなっても、みんな「えっ」と思わないというか、それが普通になった。
これは全部ヒロシさんとの取り組みがきっかけだったと思います。「ファッションの中でポケモンをどう解釈するか」のモデルケースをヒロシさんが出してくださった。みんな「ああ、なるほど」と思ったんじゃないかなと。ポケモンが得たものは、そういう意味ではすごく大きいと思います。
皆川 今は門前払いされるどころか。
鹿瀬島 逆に僭越ながら、引き合いをいただいていることもすごく多いです。
皆川 門前払いしてしまう立場に(笑)。
鹿瀬島 いえいえ、どういう面白いことができそうかは、どの相手であっても考えていますよ。とりあえずお会いするだけでもすごく楽しいので。
皆川 今日は貴重なお話をありがとうございました。
鹿瀬島 ありがとうございました。
皆川 コラボレーションの話は1時間半だと全然足りないですね。ほかにも紹介したい事例がたくさんあったんですけど、今日の話は僕にとってもすごく学びがありました。
藤原 コラボレーションって簡単に始まるけど、先に進むのと同時に考え方が深く深くいく、というのが面白み。大変かもしれないですけど、それをやらないと意味がないということですね。
皆川 ただ組むだけじゃ意味がない、というのがいちばんの示唆でした。なので、これは繰り返しなんですけど、とにかく何でも知りたがるというか、深く掘ることで面白いものが見えてくるというのがヒロシさんの教えだと思います。
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