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スニーカー投資の過熱と
転売ヤーの暗躍

他の投資と比べて一回に動く金額が多くないとは言え、利益が出る以上は半ば仕事としてスニーカー投資に参加して利益を最大化しようとする人たちも存在します。いわゆる転売ヤーと呼ばれる人たちで、ブームが過熱するにつれてその数を増やしていきました。

人気モデルの抽選は基本的にひとり一回。そのため、転売ヤーは時間のある大学生から主婦、時にはホームレスにまで声をかけて「キャパ」と呼ばれる並び屋として雇い、抽選待ちの列に並ばせるようになりました。

“スニーカーブームの生みの親”atmos創業者が明かす「転売ヤー」「スーパーコピー」との知られざる戦い30年史_1
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最も行列が長かったのは2015年にエアジョーダン1シカゴがリリースされた時で「アトモス」原宿店から「ブルックスブラザーズ」青山店まで抽選待ちの人たちが1㎞以上も並ぶことになりました。こうなると、もう割り込みや並び直しの監視も不可能です。

周辺の店舗に迷惑がかかったこともあって、2017年に「ナイキ×オフホワイト」のTHE TENがリリースされた際には、抽選に参加するためには指定のスニーカーを履かなくてはならないというドレスコードを作ったところ並びの数は随分と減少、スニーカーファン中心に販売することができたように思います。

しかし敵もさるもので、今度は転売ヤーがキャパたちに指定のスニーカーを履かせて並ばせるようになりました。今でも僕は東急プラザ表参道原宿を散歩することを日課にしていますが、それは屋上テラスがキャパたちの待機場所になっているから。キャパたちがいる日は「あぁ、近くで注目モデルの発売があるんだな」とわかる、という仕組みです。