“蛍光灯の異変”の正体とは…

自分だけが異変に巻き込まれたのではないかと怯えつつ、駅関係者の男性(20代)にこの蛍光灯の正体を聞いてみたところ、このような答えが返ってきた。

「この蛍光灯は『パブリック・アート』と称される、広場や道路など公共的な空間に設置される芸術作品で、設置場所やその周辺を『ゆとりの空間』とするコンセプトがあります。都営地下鉄を運営する東京都交通局の資料には『アットランダムな配列の天井蛍光灯。無造作な配置が地上の喧騒を表現する』と記されています」

A3出口から外へと続くエスカレーター(写真/集英社オンライン)
A3出口から外へと続くエスカレーター(写真/集英社オンライン)

芸術作品という案内は特に見当たらず、突如現れたので筆者が勝手に“ゲームの世界に迷い込んだ”と勘違いしていただけのようで、なんとなく残念な気持ちになってしまった。しかし、気を取り直し、駅の利用者はゲーム「8番出口」についてどう思うのか、駅周辺にて話を聞いてみた。

通勤で清澄白河駅を毎日利用するという女性(40代)は驚いた様子でこう話した。

「家の最寄り駅がホラーゲームのモデルになっているなんて初めて知りました! だから、最近写真を撮っている人が多いのかしら。駅開業当初からこの駅を使っているけど、心霊現象なんて見たことないし、そういう噂も一切聞いたことがないです。ゲームの影響で変な噂が流れただけだと思いますけど…」

次にA3出口から出てきたサラリーマンの男性(30代)に実際に清澄白河駅を利用していて“異変”を感じることはあるのか聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

「最寄り駅が『清澄白河駅』だと友達に話すと『本当にゲームみたいにループしてしまうような構造なのか?』とよく聞かれますが、全くそんなことはないです。むしろ、駅の構造は比較的シンプルでわかりやすいほうだと思うし、迷ったことは今まで一度もありません」

前出の駅関係者の男性は、清澄白河駅の現状をこのように語った。

「ゲーム『8番出口』が流行した影響で、駅に訪れる人の数は増えました。それまでは、駅自体は『蛍光灯しか特徴のない駅』とよく言われていました。それくらいどこにでもあるごく普通の駅です」

特徴はないけれど、なんだか不気味?(写真/集英社オンライン)
特徴はないけれど、なんだか不気味?(写真/集英社オンライン)

一方で、地元民からは、清澄白河駅が注目されることによる町の変貌を寂しがる声が上がった。駅付近で古くから飲食店を営む女性(50代)はこのように話した。

「ゲーム『8番出口』の影響で外国人観光客が増えました。中には、マナーが悪い人も多く、店内にゴミを捨てていく人や、外から持ち込んだ飲み物を店内で平然と飲む人もいます。言葉が通じないこともあるので大変です」

また、清澄白河駅近辺で生まれ育った男性(60代)もこう話した。

「地元民は『ゲームのモデルになった駅』と言われることに対して、よく思っていない人も多いです。この辺りはもともと神輿や祭りで有名な“昔ながらの下町”だったんです。地元民の中には『清澄白河はゲームじゃなくて神輿の町だ!』と怒りをあらわにする人もたくさんいます」

今後、映画『8番出口』の公開日が近づくにつれ、清澄白河駅を訪れる人はますます増加することが予想される。聖地巡礼は周囲に配慮し、マナーを守ろう。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班