糖尿病の通院と服薬をやめて“投げ銭”にあてていた

Aさんは「恥ずかしいやら情けないやら、この負債をどう処理しようか」と頭を抱えた。

自分の両親だけでなく義父らにも負債のことを伝えると、義父らから驚きの言葉が返ってきた。 

「葬儀までは『息子が亡くなっても家族だから』と言っていた義父らが、『死人に口無しで息子は何も言えない。その負債はあんたも使ったんだろう。夫婦は一蓮托生。ウチは一銭も払わない』、さらに義兄からは『2度と連絡してくるな』とまで言われました」 

投げ銭を連投した請求書。課金は1日1万、多いときで4万にのぼった
投げ銭を連投した請求書。課金は1日1万、多いときで4万にのぼった

自分が知らぬところで夫が作った負債の処理を一手に担わなければならなくなったAさん。自身の生命保険を解約し、さらには弁護士の助言や夫の勤めていた会社の社長からの援助により、約1年かけて債務整理に奔走した。 

「社長の話だと、亡くなる数年前から仕事も身が入っておらず、携帯ばかりみていたようです。夫は我が家のタンス貯金の140万円のうち50万円も抜き取っていたし、夫婦でかけていた個人年金さえも勝手に解約して使い果たしていました。

もっと驚いたのは、脳幹出血に至った理由です。夫は糖尿病でしたが、亡くなる半年ほど前から通院もやめ、薬も飲まず、その費用すらも配信アプリにあてていたのです」 

写真はイメージです(PhotoACより)
写真はイメージです(PhotoACより)

夫が亡くなったその日は、家族3人で寿司を食べた後、夫婦でゴルフの打ちっぱなしに行き、ごく普通に過ごしていた。

しかし23時頃に夫が「目が変だ」と言った後に倒れ、救急車内で測った「血糖値は580」で「血圧は250」だった。 

「夫は通院しているはずなのに、どうしてこんなことになったのかと私には訳がわかりませんでした。でも後に夫のかかりつけ医に聞くと『半年前から来ていなかった』と。

今にして思えば、債務で首が回らなくなり、自暴自棄になって『死んでもいい』と思っていたのかもしれません」