「アプリでハイスペック再就職先をさがして…」

そんな西岡さんのもとに、今年も田植え用資材の予約注文書が届いた。肥料が以前の2倍以上、他の資材もすべて値上がりしている。米価も先行き不透明な中、西岡さんはコメの作付け面積を大幅に減らし、ついに「兼業」へとシフトすることにした。

「予約注文書で資材の値上がりを知って、米の売値が農家の利益に追いつかないことを実感して、再就職活動を始めました。定年年齢オーバーなので苦戦していますが、アプリでハイスペック再就職先を探し、地元誌で業務請負やパートなどの仕事を探しています。

フリーライターの仕事も再開し、運送会社の仕分けの短期パート、コンビニの短期パートも経験しました。パートなら働いた時間分はお金が入ってくるし、農業のように事前に費用が派生しない。入金日と金額が事前にわかっているし、出荷したはずの穀物の代金が消えてなくなることもありませんから。

私からすれば、政府は農家が廃業してコメの生産量が減少するのが好ましいと考えているようにしか見えません。だから、コメ不足の傾向は続くでしょうね」

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コメ作りの現場に絶望しか生み出せなかった戦後80年の歴史。それが政治家の体たらくがもたらしたのか、官僚の不作為の連鎖によるものなのか。いずれにしても農家も消費者も傷みきっていることに間違いはない。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班