Z世代にも待ち受けている困難
「どの時代にもそれぞれ辛いことはあると思います。僕らの世代はいわゆるコロナ世代で、学生時代を存分に楽しむことができず、この先社会がどうなるのかと不安を抱えながら学校に通っていました。少し上の先輩だと、コロナ禍の影響をモロに受けて、就活がすごく困難になっていました」(22歳男性)
確かに氷河期世代という言葉がよくあがるが、そのほかにもリーマンショックの影響を受けたリーマン世代もいる。
〈氷河期世代がクローズアップされてるけど、実はリーマン世代(35〜39歳)も相当キツいよな〉
〈ゆとり世代でリーマン世代で就活時に東日本大震災が直撃した世代だけど、自分の不運を社会や生まれた時代のせいにするのはみっともない〉
リーマン世代は「第二次就職氷河期」「新就職氷河期」と呼ばれたりもする。大卒求人倍率は1.2倍程度とかなり低いうえ、条件がかなり悪い求人も多くあったため、体感ではもっと酷かったという声もある。
「今は、年功序列型ではなくジョブ型雇用で個人の能力が重視されます。入社すれば安泰だったころと比べると、新社会人のプレッシャーは大きいです。それになにより、初任給30万円の大企業に就職できるのは、結局エリートの一部。ブラック企業だってまだまだ多いし、就活がイージーなわけではありません」(前同)
また、初任給(基本給)引き上げの裏で賞与を削減し、年収ベースでみると実はそれほど変わっていない企業もある。そして能力の高い人だけが昇給するシステムに変わったことで、30代、40代になっても思ったほど年収があがらないというケースも。今の若者世代は入社後に大きな困難が待ち受けているのだ。
とはいえ、世代によってはその土俵にすら上がれなかった人も多いだろう。氷河期世代を救う一つの手段として、スキルを再開発・再教育する“リスキリング”が注目され、日本政府は2022年にリスキリングのために、5年間で1兆円を投入すると発表した。
しかし氷河期世代からは「もう手遅れ」との声も。実際、50代の転職活動では、年齢を理由に書類選考の段階で落とされてしまうケースが多いようで、能力を見てもらうことすらできない現実がある。
世代間にできてしまった溝はこの先、ますます深まってしまうのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部