シュワルツネッガーが語る「ボディビルの極意」

ボディビルでは、身体と同じくらいにマインド(意志、頭脳)が重要だ。私の知るチャンピオンはみな、やる気にあふれ、意志の力で筋肉を成長させたと言ってもいいほどだった。

しかし、マインドが重要な理由はほかにもある。

ボディビルに限らずスポーツで成功するには、考える習慣を身につける必要がある。自分が何をしているのかを理解しなければならないし、トレーニングテクニックをマスターしなければならない。

上級者になるほど、ボディビルの基本原則を超えて、自分にとって本当に効果的なやり方を見つけなければならない。筋肉を発達させるのと同じように、直感を発達させ、それに耳を傾けられるようにならなければならない。

肉体的にハードなトレーニングが必要なのは当然だが、頭を使ってトレーニングしなければ、大した成果は得られない。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)

もちろん、そういったことはみなトレーニングを続けるうちに自然に身についていく。だから、最初のうちは基本に忠実であればいい。

トレーニングを始めたばかりのころは、「自分の感覚」に従ってトレーニングしようにも、そもそも正しいトレーニングがどのような感覚かわかっていないのだから、できるはずがない。それには経験が必要なのだ。

正しいトレーニング方法をマスターし、その方法でトレーニングする感覚に慣れていくうちに、「感覚」や「直感」に頼れるようになる。

私も例にもれず、最初は基本的なエクササイズから始めた。時間が経つにつれ、ワークアウトにさまざまな実験を加えながら、自分が何をしているのかを考えるようになった。

たとえば、大胸筋や広背筋のエクササイズを最大限の強度で何セットも行っても、背中と胸のスーパーセットをしたとき、つまり引く動作と押す動作を組み合わせたときほどよい結果は得られなかった。

オーストリアのタールにあるアーノルド・シュワルツェネッガーの記念館(写真/Shutterstock)
オーストリアのタールにあるアーノルド・シュワルツェネッガーの記念館(写真/Shutterstock)

しかし、このテクニックがすべての筋肉に当てはまるとは限らないし、私と同じトレーニングを他のボディビルダーがしても同じ結果を得られるとは限らない。

だから、まずは関連するテクニックをすべて身につけてから、個々のテクニックがあなた個人にどのような効果をもたらすかを検討しなければならない。これこそがボディビルの極意である。

このプロセスの第一歩は、ジムで行うエクササイズの意味を正確に理解し、ルーティンをこなす中で日々経験する感覚を言語化する習慣を身につけることだ。

競技ボディビルダーを目指しているなら、おそらく競争相手もあなたと同程度のテクニックを身につけているだろうから、大会では自分の直感や感覚をどの程度活かせるかが勝敗を分かつカギになる。