市販薬は第2世代の抗ヒスタミン薬を
一度発症すると、ずっとつきあっていかなければならない花粉症。レーザー治療などさまざまな治療方法がある中で注目されているのが「舌下免疫療法」だ。
アレルギーの原因物質(スギ花粉など)を含んだ錠剤を1日1回、舌の下に1分間保持した後、飲み込むという治療法で、3年くらい継続しての治療が必要だ。
「3年以上と時間はかかり、薬を飲み続けないといけませんが、アレルギー症状のある人は試してみる価値はあると思います。特に子どもの頃から始めれば大人になってから症状に悩む時間を減らせるため、小さなお子さんにはオススメです。」
舌下免疫療法は花粉が飛散するシーズンの前に治療を始める必要があり、時間がかかるため、季節中の花粉症の対策としては、やはり薬の服用や点眼薬が一般的だ。
特に鼻水がとまらない、ムズムズするなど鼻の症状は、生活クオリティの低下や仕事のパフォーマンスに影響する場合があるので、内服薬に頼りたいところ。
「根治を目指すなら舌下免疫療法、重症患者は病院に来ていただきたいというのが大前提です。だけど花粉症に悩む全国民が耳鼻咽喉科に来られても困るのも本音。国としても軽症の患者はOTC薬(市販薬)で対処してほしいという思惑があり、第二世代の抗ヒスタミン薬を市販薬として解禁しました」
では市販薬では何がいいのだろうか。ドラッグストアにはさまざまな薬が並んでいる。
筆者の同僚に話を聞くと、
「鼻水を止める薬ってなんだか口の中が乾くイメージがある」(50代男性)
「花粉症の薬を飲むと、眠気が襲ってきて、午後の会議などで仕事にならない」(40代・男性)
というマイナスなイメージをもっている人が多いのだが、だが実際にはこれらの症状は、第1世代の抗ヒスタミン薬の特徴だ。
「アレジオン、アレグラ、クラリチンEXなど第2世代の抗ヒスタミン薬は眠くなりにくく、口も乾きづらいので、学校や仕事などがある現役世代にとっては第2世代が抗ヒスタミン薬のほうがいいと思います」(大久保先生)
実際に「花粉や黄砂など刺激の多いシーズンやじんましんが出そうなときの対応として、抗ヒスタミン薬を取り入れています。なので、以前は処方箋だったのが薬局で購入できるようになったのはうれしい限り」(50代・男性)という声もある。
「服用は症状がひどくなってからではなく、早めに飲み始めてください。また、もちろん症状がつらい場合は専門のクリニックを受診しましょう」(大久保先生)
花粉症は春に限らず、夏や秋も発症する。自宅は加湿をきちんとして、食生活は腸内環境を整える食事を心がけ、日中は花粉症薬を服用し、花粉症に負けない体づくりを心がけよう。
取材・文/百田なつき