備蓄米は「そこまで著しく味が落ちるということはない」

不作や災害などでコメ不足に陥っても市場に供給するために備蓄米の仕組みがあるが、これまで農水省は備蓄米の放出に対し、「民間に在庫はあり、放出が必要な状況ではない」と否定的な姿勢を貫いてきた。

しかし、2月7日に行われた江藤拓農林水産相の記者会見では、一転して放出する考えを表明。

売り渡し数量といった入札実施概要については「早ければ14日にも発表する」と述べている。

備蓄米の放出によって市場にコメが出回れば、米価の高騰は落ち着くのだろうか。茨城県内のJAの関係者はこう解説する。

江藤拓農林水産相(農林水産省公式YouTubeより)
江藤拓農林水産相(農林水産省公式YouTubeより)
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「そもそも去年のコメの生産量は、その前の年よりも18万トン増えたと言われています。しかし、JAなど集荷業者は前年比にすると21万トン近く集荷量が減っているんです。

この点については異業種の企業や個人の転売が投機的な目的で入っていて、それが関係しているのではないかと言われています。そうした業者がコメの売り惜しみをして市場に出回らないため、“消えたコメ”と呼ばれているわけです。

もちろんそれだけではなく、コメの買い占めに走ったご家庭も多かったですから、一部分はご家庭でストックされているかとも思います。

いずれにせよ、備蓄米が放出されるなら、売り惜しみしていたコメの価格が落ちる前に今度は早く売り抜けたいと考えるわけですから、ある程度価格は落ち着くのではないかと思います。

ただ、それが持続的に価格の値下がりに作用するかはまだわかりません」

写真はイメージです(PhotoACより)
写真はイメージです(PhotoACより)

コメ価格の安定化の救世主となることを期待されている備蓄米だが、その味はどうなのだろうか。富山県内に住むコメ農家の男性が語る。

「政府が保管している備蓄米について保管期間は5年間となっています。保管の状況にもよりますが、そこまで著しく味が落ちるということはないと思います。

むしろ、2023年産、2024年産とかであれば、味や香りなど新米と大差なくおいしく頂けると思いますよ」