「まるでセルフネグレクトのような暮らし」
「なるべく感情移入しないようにしている」と話す鈴木さん。しかし、孤独死は他人ごとだとは思えないとも言う。
「孤独死の現場で一番多いのが、“ベッドから動かずに生活ができる部屋”です。テレビやエアコンのリモコン、ゲームのコントローラー。全てが手に届く範囲にある。
おそらく、そのような暮らしをしている単身の方って多いと思うんです。
東京の賃貸で一人暮らしとなると、部屋も狭く、どうしてもベッドからあまり動かない生活になってしまうんです」
そのような現場で亡くなった方について、清掃する際に出てくるゴミから鈴木さんはこう分析する。
「一人暮らしだと、どうしてもふだんの掃除が行き届かなくなり、食べ物もコンビニの弁当などに。まるでセルフネグレクトのような暮らしになっていく。そういう人は多いと思うんです。
体調が悪くても、病院へは行かずにずっと家で寝てばかり。部屋の掃除が行き届かないだけでなく、お風呂場や水回りはカビだらけ。
そんななか体調不良になると、ただでさえ面倒でやっていなかったのに、外にゴミを捨てに行くことすらも、もうできない状況になってくる。
不衛生な場所で、そのまま血を吐いて亡くなってしまったり、脳梗塞や心筋梗塞などで倒れて救急車も呼べずに亡くなられる方はたくさんいると思います」
数多くの孤独死の現場を目にしてきた鈴木さんは、その住まいには共通点があると話す。それは足の踏み場がなくなるほどのゴミ屋敷になっているということ。
「部屋は食べ終わった弁当のゴミなどが散乱し、飲み終わったお酒の空き缶やタバコの吸い殻が詰まったペットボトルが転がっていることがあります。
ペットボトルにはおそらく自身の尿らしきものがパンパンになっていて、なぜか冷蔵庫で冷やされていたりすることもあります。
なぜトイレで用を足さないのかと疑問が残ると思うのですが、そういう家ってトイレがゴミでいっぱいになって使用できない状態になってしまってるんですね。
大便はにおうので無理やりゴミをかき分けてトイレにしてるのだと思うのですが。たまにオムツに大便が入っている現場もあります」