整形顔から前の顔に戻す手術をするまで熱中
みゆ氏を見るとき、その刺青に目が行きがちだが、整形をはじめとして全身にかけた金額は1000万円を優に超える。
「最初にメスを入れたのは18歳のときで、鼻を整形しました。費用は200万円ほどで、単体ではこれが一番かかったでしょうね。もともとの自分の顔が嫌いというわけではないんです。
『もっと可愛くなりたい』と繰り返した結果、ここまで整形した感じです。一時期、整形をしすぎていわゆる“整形顔”になってしまい、前の顔に戻す手術をしたほどです(笑)」
冒頭で紹介したように、それぞれの刺青は彼女がこだわり抜いて入れたデザインだ。そのなかには息を飲むようなエピソードもある。
「お腹には天女が手を添えてくれている刺青があります。ちょうど手のところは卵巣のあたりなのですが、私は卵巣を摘出しているんです。19歳で子宮外妊娠をしてしまい、それが原因で卵巣摘出に至りました。今でもその事実は私にとって重たく、こうして天女が手をかざしてくれることで、幾分か安心することができるんです」
女性性の象徴とも言える卵巣を摘出せざるを得なくなったのち、女性性を公開するセクシー女優へ転身したみゆ氏の選択は意外にも思える。
「身体のことを考えれば負担をかけないほうがいいと思ったのですが、撮られることが好きで、天職だと感じたセクシー女優を選択しました」
ちなみに女優引退の理由は「業界や人間関係などに不信感を抱えたため」。活動は2年ほどだった。
このほか、胸元に描かれた蝶も目を引く。堂々と広げた羽根は、両端を手で掴まれ、破れている。なぜこのようなデザインにしたのか。
「黒のアゲハチョウは、死の象徴です。堕胎や子宮摘出など、つらい出来事があったとき、ずっと一緒にいてくれた姉御的な人がいました。お互いにつらいことを抱えていたこともあってか、彼女とよく馬が合って、ほとんど毎日すごしていたように記憶しています。
しかし、ある日突然、彼女は自死してしまいました。あんなに一緒にいたのに、私は彼女の本当の名前さえわからない関係でしたが、その喪失感の中でひどく落ち込み、しばらく自分を責める日々が長く続きました。
でも彼女は、きっとそんな暗いことを延々と考える私を望んでいないのではないかと思えるようになりました。亡くなった人のことを思うときは、自責ではなく、幸せな自分を生きるという決意にしたいと思って、死(黒のアゲハチョウ)を破るデザインを刻むことにしました」