被選挙権に満たない年齢で立候補できないことが不服

陰キャのニート青年はしかし、政治の世界に活路を見出そうと突飛な行動に出た。被選挙権に満たない年齢で立候補できないことを不服として法廷闘争を始めたのだ。

「木村被告は自身が23歳で被選挙権のある30歳に達しておらず、供託金300万円も用意できなかったことが理由で参院選に立候補ができなかったことについて、『法の下の平等などを定めた憲法に違反する』として2022年6月、国に10万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴。

同11月に1審で請求が棄却されると『全部不服』として控訴したものの、2023年3月23日に大阪高裁で第1回口頭弁論が開かれた控訴審は、即日結審しました。型通りの門前払いですが、木村被告は悔しかったんでしょうね。

同日、自身のTwitter(現X)に『本日の口頭弁論では審議不足を指摘した控訴人に対し、審議を拒否し。いきなりの結審でした。大阪高裁の無法振りが露呈しました』(原文ママ)と投稿していました」(社会部記者)

木村被告はこれ以外にもTwitterに、銃撃で死亡した安倍晋三元首相の国葬を決定した岸田氏や、世襲政治について批判の投稿を繰り返していた。そして、事件前の最後の投稿は2023年4月11日、こんな内容だった。

<憲法違反の選挙供託金・成人年齢以上の被選挙権年齢による、被選挙権侵害が現実問題として存在しています。普通の国民が立候補出来ない現状の制限選挙下では、普通ではない世襲と、政党の言いなりの犬しか立候補出来ません。まともな候補者がいなければ、投票数が減ります。>

木村被告が投稿したと思われるTwitter(現X)のツイート
木村被告が投稿したと思われるTwitter(現X)のツイート

そして4日後、若者は自宅から120キロ離れた和歌山の漁港で手製の爆弾を「最高権力者」に投げつけた。検察側は冒頭陳述でこう主張した。 

「雑賀崎漁港までの経路や警備について検索していた。自宅を出る前には検索履歴が記録されたハードディスクなどを屋根裏に置いてから会場に向かい、岸田前総理大臣らに向かって爆発物を投げた」 

弁護側はこの日の初公判で、木村被告の母親を呼んで証人尋問を行うことを明らかにした。2月10日の第4回公判で結審し、同19日に判決が言い渡される見通しだ。 

雑賀崎漁港(撮影/集英社オンライン)
雑賀崎漁港(撮影/集英社オンライン)
すべての画像を見る

※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班