責任逃れに隠ぺい…伝説の“ダメ”謝罪会見3選
これまで多くの会見を手掛けてきた「記者会見のプロ」である広報コンサルタントの石川慶子さんに、平成以降で最も“ダメ”だった企業による記者会見を3つズバリ聞いてみた。
「1つ目は、小林製薬の紅麹サプリ事件の謝罪会見です」(石川さん、以下同)
紅麹サプリ事件とは、2024年3月に製薬会社「小林製薬」が製造した紅麹を原料としたサプリメントが原因で、少なくとも死者5人以上を含む多数の健康被害を出した事件だ。
報告書では製造現場で青カビが混入、増殖していたにも関わらず、問題を放置。同年1月に健康被害の事例が報告されるも同年3月下旬まで公表を控え、実態調査に乗り出したのも公表以降だった。
「まず会見が4時間半にも及び、経過表などを書いたペーパーも配られなかった。誰から、どのような通報があってどう動いたか、もしくは動けなかったかの5W1Hの説明がなく、ただただお詫びしているだけでした。
会見でのキーメッセージも分かりづらかったし、1度目の会見を定例会見でやって、死亡者が出てからオープンな形で会見をしたのも、今回のフジテレビの会見と似ている部分があります」
石川さんが挙げた2つ目は、中古車販売大手「ビックモーター」が事故車の修理に伴う保険金を水増ししていた不正請求問題における会見。
2023年7月に社長が会見に臨んだが、「私の怠慢」と繰り返しながらも、独自の経営哲学を展開させながら関与を否定する姿は、「責任逃れ」と多くの批判を集めた。
「修理担当者がゴルフボールを入れた靴下を振り回して車体を叩く不正行為が指摘された際に『本当に許せない。ゴルフを愛する人への冒涜だ』といった社長の発言から、当事者意識が欠如しているし、被害者の痛みに全く寄り添っていない。このあたりはフジテレビと共通する部分です。
さらに社長が辞任して、翌日に代わった部分に関しても同じです。辞任の表明はいいんですけど、翌日からいなくなると、その後の対応は全て新社長になる。どうしても逃げている印象になります。辞任するにしても責任をもって対応しなくてはいけないと思います」