4000億円を超える投資有価証券を保有

結論からいうと、多くのスポンサーが手を引いたからといって、フジテレビがすぐに倒産するようなことはあり得ないだろう。

フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスの2024年3月期の売上高は5664億円だった。そのうち、フジテレビ(フジテレビジョン)の売上高は2382億円。さらにテレビCMなどによる放送収入は1473億円で、ホールディングスの売上高の26%ほどである。

前期の下期における放送収入は770億円あまり。仮に今期下期において500億円程度の売上が吹き飛んだとしても、今期(上期通過時点)の通期売上予想5983億円の8.4%ほどに過ぎない。

渦中のフジテレビ本社
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しかもフジ・メディア・ホールディングスは2024年9月末時点で保有する現金が900億円近くあり、テレビCMを見合わせたキッコーマンや東京電力ホールディングスなどの株式を持つなど、4000億円以上の投資有価証券を保有している。

主な保有目的は広告出稿で取引関係があるためだ。フジテレビが資金繰りに行き詰まり、企業が出稿を控えたままであれば、株式の売却も視野に入るはずだ。

また、豊富な不動産を持っていることでもよく知られている。帳簿上の不動産価格で、東京サンケイビルは970億円、湾岸スタジオが343億円、本社ビルは101億円だ。(コロナ禍で大打撃を受けたエイチ・アイ・エスやエイベックスが、窮地を脱するために本社ビルを売却したことは記憶に新しい)

しかも、フジ・メディア・ホールディングスは全国展開しているグランビスタ ホテル&リゾートを主軸とした観光業が強みの一つであり、インバウンド需要の追い風を受けて盤石な収益基盤を構築している。2025年3月期上期における都市開発・観光事業のセグメント利益は98億円だった。同期間におけるフジテレビの営業利益は54億円である。

つまり、不動産事業は主力であるテレビ事業の2倍近くを稼ぎだしているのだ。

したがって、スポンサーが一時的に手を引くことで簡単に倒れるような会社ではない。