株主提案にあった75歳以上定年制を導入すべきだったのでは……
2011年、俳優の高岡蒼甫(現・蒼佑)氏がSNSで、フジテレビが韓国寄りの偏向報道を行なっているなどと告発。「韓流ゴリ押し」などという言葉とともに、インターネット上で大炎上しはじめた。この影響は収まる様子を見せず、2度にわたる抗議行動へと発展した。
この問題が視聴率に直接的な影響を与えたかどうかは判断しがたい。しかし、この時期を境として、数字が下がったことは事実であり、フジテレビの収益性も低下した。それにもかかわらず、当時のフジ・メディア・ホールディングスは何ら効果的な手を打つことはできなかった。
こうした業績悪化を受け、2014年の株主総会で個人による株主提案が行なわれている。その中に取締役の75歳定年制を導入するべきだというものがあった。その狙いは明白で、会社に絶大な影響力を持つ日枝久氏(当時76歳)の退任要求である。
結局、これは否決されたが、高齢の経営者がいつまでも居座る経営体制は当時から疑問視されていた。
フジテレビとしては、抗議デモは取るに足らない問題だったと認識していたのかもしれない。しかし、これはネット上の小さな声が抗議活動にまで発展したものであり、今回の騒動と相通ずるものがある。
時代が変化しているにもかかわらず、フジ・メディア・ホールディングスは高齢の経営幹部が実権を握り、権力を手放そうとしなかった。視聴率が低迷して、業績が悪化してもその状態を続けたのだ。
もし、女性トラブル問題に揺れる今のフジ・メディア・ホールディングスの経営体制が変化しなければ、視聴者の信用を失って収益性のさらなる低下を招きかねない。大量の離職者を出し、番組の質が低下して低視聴率にあえぐという最悪なシナリオが見えてくる。