やる気がある国にはゆるキャラがいる!
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする大阪万博では、ゆるキャラへの期待感を抱く人は少数派かもしれない。
しかし、スイスは『アルプスの少女ハイジ』で自国の魅力を紹介するなど、各国がキャラクターを活用した意欲的な取り組みを見せている。
特にバチカンのローマ教皇庁公式キャラクター「ルーチェ」は発表後、海外のSNSで大きな反響を呼び、ネットミームとしても注目を集めた。
これはカトリック信者に特別な許しを与える「聖年(今年12月24日~2026年1月6日)」の公式マスコットで、巡礼者の少女をモチーフとしたアニメ風のキャラクターだ。
巡礼者の必需品であるレインコートや杖を身につけ、ブーツは長旅で汚れているという設定になっている。
「バチカンはイタリア館内に専用のイベント・スペースを設け、バロック期の巨匠カラヴァッジョの絵画『キリストの埋葬』を展示します。それだけでも十分な集客力が期待されますが、ルーチェの存在感はさらに大きいはずです。
すでに記者会見でフィギュアが公開されていますが、商品化されれば転売目的の爆買いが予想されます。大阪万博限定の商品であるため、プレミア化するのは間違いないでしょう」(月刊誌編集者)
さらに、イタリアは、国旗柄の着物を身にまとった少女「イタリアちゃん」というキャラクターを発表しただけでなく、展示物にも力を入れている。
中でも注目されるのは、2世紀に作られた高さ2メートル、重さ2トンの大理石の彫刻像「ファルネーゼアトラス」の日本初展示だ。
建築面でも「ルネッサンスの理想都市」を近代的に再解釈したタイプAのパビリオンが見どころであり、期間中には「芸術は命を再生する」をテーマに、オペラやオーケストラの公演、さらにファッションショーが予定されている。
「関連性は定かではありませんが、2025年1月時点でキャラクターを発表している国(インドネシア、オーストラリア、タイ、モナコ、ドイツ、ベルギー、イタリア・バチカン市国、シンガポール、アメリカ、イギリス、チェコ)はすべてタイプAです。
クウェートもキャラクターを構想中とされ、この流れに乗りやすそうな中国や韓国はまだ発表がありませんが、いずれ登場する可能性が高いでしょう。
もしかしたら、建物に金をかけられるだけではなく、キャラクターも作ることができる国のパビリオンは、展示物にも期待できるかもしれませんね」(前出・大阪在住ライター)
1970年の大阪万博でアメリカ館に展示された月の石を、再び展示する構想が報じられるほど、目玉に欠けるとされる大阪万博。
そんなことをせずとも、完全にキャラクターに振り切り、「ゆるキャラ万博」と開き直るほうが、世間の印象をよりよくするのではないだろうか。
取材・文/千駄木雄大