メタ社が大規模リストラに踏み切った理由

マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は同社の社員宛ての文書で「成績評価の基準引き上げ」と「成績不振の社員の人員削減」を通知した。

リストラを発表したマーク・ザッカーバーグCEO
リストラを発表したマーク・ザッカーバーグCEO
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メタ社は、新型コロナウイルスの影響でオンライン活動が世界的に拡大した2020年と2021年に合わせて2万7000人もの従業員を新たに雇用、2022年にも1万7000人以上を雇用し、9月末時点で、従業員数は約8万7000人だった。

しかし同年11月には急転直下、採用凍結と創業以来初となる大規模リストラを実施。マーク・ザッカーバーグCEOが社員に対して謝罪のメッセージを発表しながら、全従業員の約13%に当たる1万1000人超の人員削減を行なっていた。さらに2023年にも「効率化の年」と銘打って追加で約1万人を解雇している。

2024年9月末時点で、メタ社の従業員数は約7万2000人。5%の従業員削減となれば、およそ3600人がリストラされる計算になる。

同社が今年も人員削減を続ける理由は何なのか。城西大学助教で情報社会学を専門とする塚越健司氏に話を聞いた。

「大きな理由は2つあります。まずは前提として、2020年のコロナ禍で需要が急激に伸びた後、需要が落ち着いたために人手が余ったことなどで、2022年〜2023年にかけて解雇がありました。2つ目は、2022年末にChatGPTが登場して以来、生成AI開発・投資に費用を捻出するため、リストラが行なわれたことです。その他、インフレや金利上昇によって調達コストが増加し、経営を圧迫したといった点もあるでしょう」(塚越健司氏、以下同)

実際にメタ社は、今回リストラする社員の代わりとして、AI分野が得意な人材を入れると明かしている。非常に効率的ではあるが、アメリカらしさ全開ともいえるこの改革は、日本からは否定的な声もあがっている。

〈こんなことしてたら、そのうち誰もいなくなるよ〉
〈アメリカ企業、ドライすぎて修羅すねえ…〉
〈世の中競争とはいえこれは厳しいな。社内間で個人主義が更に加速しそう〉
〈こういうのを見ると日本は恵まれてるって思う反面だから海外に負けるんだって思いますね。複雑です〉

まさに“転職大国アメリカ”と“終身雇用ニッポン”といった感じだが、ではいったい、メタ社を退職することになってしまった社員たちはその後、どういった企業に転職することになるのだろうか。