どのように“下位5%”を判断するのか

「具体的なデータはありませんが、“元メタ社員”という肩書が有利なのは間違いありません。競合他社(AppleやAmazon、Google、Microsoft)などの他、AIやフィンテックなど、労働者の得意分野に合った企業が選ばれるでしょう。

転職による給料の増減に関しては人それぞれですが、メタ社は相対的に給料が高い企業なので、転職となると下がるケースが多いと考えられます。ただし、将来性のあるスタートアップに転職する場合、給料は下がるが、ストックオプションなどが与えられるケースもあるはずです。

いずれにせよ、日本以上に転職が習慣化しているので、転職が極めて難しいということはないのですが、成績不良で解雇されたことが、再就職に悪影響をもたらす可能性はありそうです」

“元メタ社員”であるが、成績不良で解雇された人材と聞くと、確かになんとも言えない評価になりそうだ。ただ、そもそもこの“成績”をどのように算出しているのだろうか。数字がはっきりしている営業職ならまだしも、メタ社のようにエンジニアが多い職場で、どのように優劣をつけるのか、難しい気もするが……。

メタ社の成績下位5%はどう選ばれるのか…
メタ社の成績下位5%はどう選ばれるのか…

「多くのIT企業や外資系企業では、会社内で数値目標や、社員の評価システムを設けています。企業ごとに異なりますが、数値が達成されなかったり、プロジェクトが達成できない、あるいは協調性の欠如など、さまざまな評価方法があり、低評価の場合は解雇になることがあるのです。

また成績が低迷した社員には『パフォーマンス改善システム:Performance Improvement Plan(PIP)』を示して、期間内に改善ができなければ解雇になることもあります」

ちなみにAmazonでは2021年、「後悔のない離職(unregretted attrition)」という名前で、成績下位6%の人員削減を目標としていると報道された(Amazonは否定)。

現在も存続しているかは不明だが、こうした動きが何らかの形で継続している可能性もあるだろう。

アメリカではトランプ氏の大統領就任を前に、多くの企業が「DEI(多様性、公平性、包摂性)」の実現に向けた取り組みを見直す動きを行なっている。メタ社もその一つで、多様性に配慮した採用活動を廃止する方向であるとアメリカ国内で報じられている。

今回のメタ社の取り組みは、アメリカが改めて「超競争社会」となる前触れなのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部 写真/shutterstock