認知症を恐れない社会へ

認知症にはなりたくないと、認知症を恐れる人には「認知症になると自分が自分ではなくなってしまう」という誤解があることが多いのではないかと思います。

そして、そのような誤解のベースには、認知症になると、脳が壊れてしまうせいで被害妄想や暴言、暴力、徘徊などの「行動・心理症状(以下、BPSD)」が出て、周囲に迷惑をかけたり、周囲から迷惑がられたりし、屈辱的な状態になってしまう、という誤解があるのではないでしょうか。

認知症と診断されたときにも、同じような誤解から「絶望」を感じる人がいると感じています。

認知症への根本的な誤解。”認知症だから”「被害妄想を抱き」「暴力的で」「注意散漫」になるわけではない_1
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しかし、認知症を専門的に診療していて、認知症は恐れるほどその診断が遅れたり、症状が進行したりする可能性があるものであり、進行を遅らせるために工夫できることもある、と感じています。

そして、ただ恐れているだけでは社会は認知症フレンドリーになっていかないけれど、認知症について正しく知っていけば、社会を認知症フレンドリーに変えていくことができます。

認知症を恐れる気持ちの根底にあることが多い「BPSD(認知症の患者に現れる精神症状や行動症状)に対する不安」を軽減していただけるよう、困ったこととして話題になることが多いBPSDについて解説します。