旦那とレスに至った原因は?
「えっと、なんかね、私、じつは、最初から、エッチに関しては、彼と付き合ってるときから、あんまり合わなかったのね、じつは……」
言葉を区切り、そのうえ「じつは」を繰り返し使っての告白だった。私は問い返す。
「やり方が?」
「やり方が。で、それが言えなくて。で、我慢してたんだけど、で、彼は彼で私を気持ちよくさせようと、あの手この手でやったりしてたんだけど、それを私も最初は楽しんでたんだけど、やっぱりこの、違くって……」
「もうちょっと具体的に……」
「あのね、早かったんです。イクのが」
「いわゆる挿入してからが?」
「そうそう。早いからぁ、あーあって。前戯もあんまりだった」
「それってたとえばね、お店とかだと、プレイは前戯がメインだから、上手な人が現れるじゃん……」
「そう。それも知っちゃったがゆえに、だと思う。最初から、その、ダンナさんとはね~。最初の頃、イヤって言ってるんです、私。こう、エッチでの来方が、私への迫り方が、ガバッていう感じだったから。ちょ、ちょっとは焦らしてよっていうのが、なんかあるじゃん。それがなかったから。私、イヤぁ、イヤぁって言ってて、で、なんかちょっと我慢する形でやってたんだよねえ~」
「なんで我慢しちゃったんだろうね」
「言えなかったし……。そのときは、こうして欲しいとか言うと、傷つけちゃうんだろうなっていうのがあったから。黙ってて……」
「お店では『こうして欲しい』って言うんでしょ?」
「言ってるし。むしろ言ったほうがいいっていうのはわかってきたのね、だんだん。でもプライベートでは言えなかった。で、どこのどういうところがイヤなのっていうのも、説明できなくて……。そこもね、レスに至った原因の一つですね」
口調は軽いが、ハルカに先ほどまでの明るさはない。原因がはっきりわかっているから、しかもそこからの抜け出し方が見つけられないからこその、泥沼だ。
もがいたり、諦めたりしながら、2人でずぶずぶと沈んでいく姿が目に浮かぶ。だがそんな彼女に向かって、私は再度同じ質問を投げかける。