「父に可能性をつぶされているような気がした」

恐かった父とのエピソードを面白おかしく語る原口には、父への尊敬と感謝が滲み出ている。しかし、そんな父に対し、実は感じていたことがあるようだ。

「親父はあまり強くは言わないものの、“お前は自衛隊に入るしかない”“剣道しかないんだ”ということを、ずっと押し付けてきたんですよね。

俺はやりたいことを押し殺してまで、親父の言うことを自分なりに聞いてきたんです。それは、親父に認められたいし、褒めてもらいたいから。

だから親の言うことを聞きながらも、グレた時期もありました」

原口あきまさと父(本人提供)
原口あきまさと父(本人提供)

認められたいと思う一方で迎えた反抗期。

「“あんなやつらと遊んでるからお前はグレたんだ”って俺の友達を悪く言ったことがあって。“友達のせいにするな”って喧嘩したんですよ。

友達のことを言われるのは嫌だったし、グレたのは自分が選んだ道だったから。

今思えば、親父としては、俺が間違った方向に行くのを正そうとしただけなんですけどね。

でもあの頃はそんなふうに思えなかった。『俺は好きなことはできねぇんだ』と、可能性をつぶされているような気がしたんです。

だから、高校を卒業したら解放されたい、自由に自分のやりたいことをやってみたい。それで思い切って言ったんですよ。

『芸人になりたい』って」