行政機関もビジネスでのパーカー着用を推奨
東映の元専属女優やアナウンサーという経歴も持つ江頭講師は、ビジネスマナーを教えるほか、心理カウンセラー、イメージコンサルタントなどとしても活躍。ファッションをはじめとした“他人から見た印象”に関する専門家だ。
「『一概に不適切とは言えない』というのはどういうことかというと、企業の方向性や業種によって違うからなんです。オフィス内の服装やマナーは時代とともに変化していて、今までダメだったものが良くなったりもするんですよ」(江頭講師、以下同)
江頭講師はこの具体例として、カジュアルさとは無縁なイメージの行政機関が、パーカー着用を推進している事例も紹介してくれた。
例えば公正取引委員会は今年10月、「テック業界の事業者の方々などに親しみを感じてもらえるよう」ということで、有志一同でパーカーを制作している。
江頭講師はこれについて、「公取委の職員有志が、『講演会やイベントではパーカーを着よう』『あそこでスーツを着るのは逆に違和感』として、自分たちでパーカーを作って着るぐらい、時代は変わってきているんです。公的な機関でそういった取り組みをしている意味は大きいですし、こうして活用されるのは素晴らしいと思います」と賛辞を贈った。
ここからはマナーとしての解説に入り、まず、「身だしなみは他者目線、おしゃれは自己目線」を「マナーの基本」とした上で、“身だしなみの三原則”である「清潔感・機能性・調和」を紹介。
この3つの観点から、ビジネスシーンでのパーカー着用について説明してもらった。
「まず機能性ですが、パーカーというのは動きやすく、すごく機能的にできている部分があります。調和の観点では、オフィスカジュアルの大切な部分である『企業ごとの文化や風土』が大切ですね。企業はそれぞれ目指している特徴のようなものがあって、パーカーやジーンズ、夏は短パン・TシャツでもOKの職場もあるんですよ。
清潔感は相手に対する敬意、他者目線という点で重要でして、スーツでもヨレていたりすると清潔感に欠けますよね。大事なのは、何を着るかではないんです」
実際のオフィスでのパーカーの着こなし例も、詳しく丁寧に解説してくれた。
「パーカーの下に着るインナーですが、Tシャツよりは襟があったほうがカジュアルさは緩和されるかと思います。ただ、パーカーを着られる方は楽にされたい方が多いと思いますので、ポロシャツのようなものがいいかもしれませんね。
『ファッションは3色以内に収めるのがいい』というのが定説です。色の数をあまり増やさず、モノトーン系だと綺麗に着こなせますし、違和感もありません」