〈前編〉

ギリギリ間一髪での生還

「もう消えてしまいたい」と富士の樹海で自殺をしようとした、なおさん(48)。森の奥のほうまで進んで焼酎を飲み始めると、持っていたガラケーが鳴った。「こんな樹海でも電波が入るんだ」と思いながら出ると、母親だった。

何年も連絡していなかった母親からの突然の電話に驚きながら、なおさんは自分の状況を説明する。

「いま樹海にいて、死のうとしているんだ」