互いを「ブラザー」「ファミリー」と呼んだ
集英社オンラインでは事件を♯1から♯5までで詳報しており、この中で被害者の斉藤さんや堀内、ジンロ両被告、少年院送致された少年らがAのアパートの部屋をたまり場にしていたことも報じた。
事件当日のトラブルも、このアパートが「発火点」だった。斉藤さんの“先輩”にあたる友人は取材にこう答えていた。
「宇川は日本人のコミュニティとは別に、浜松周辺の外国人やハーフのグループとの繋がりもあって、今回“やった”のはそっち側の連中ですよ。多くがフィリピンやブラジルの子で年齢層も下は14歳から上は23~24歳くらいとバラバラでした。
宇川は日中から夜にかけては街で遊ぶ日本人の仲間たちとともにいて、夜中になると外国人コミュニティ側にいく。それで暇なとき短期のバイトをする生活をしていた。俺も何回か“そっち側”に遊びにいったことがあるんだけど、皆、日本語はペラペラ。家庭が複雑で家に居場所がない子も多くて、独特なコミュニティでした」
堀内被告は日本人の父とフィリピン人の母を持つハーフで、フィリピン国籍のジンロ被告とはお互いを「ブラザー」と呼び合い、斉藤さんを含めた仲間たちを「ファミリー」とも呼んでいたという。
Aとブラジル人のBは彼女彼氏の関係だったようだ。そして事件が起こったのはこんな些細な出来事が発端だった。
「この日はもっとたくさんの人数の男女が集まって、みんなでAちゃんの家に泊まっていた。で、朝起きてから宇川がBのバイクでどこか遊びに行って、帰ってきたときにバイクを倒しちゃったんだよ。それでBともう一人と宇川とで取っ組み合いが始まったの。それをAちゃんが止めに入ったの。
宇川も周りが見えてなかったんだと思うけど、仲裁に入ったAちゃんにも手をあげちゃったんだよね。それにBがキレだして、なぜか堀内先輩とジンロ先輩が登場して、関係ないのに『女に手をあげんのかよ』ってマジギレして、宇川を車のトランクに押し込んだんだよ」
結果は、最悪なことになった。その事件から10ヶ月後の12月、堀内被告の自宅玄関にはクリスマスの飾りがつけてあった。記者の鳴らしたインターホンに出た父親と思われる男性は言葉少なにこう答えるだけだった。
「弁護士さんにすべてお任せしてまして私から話すことは何もありません。会ったかどうかも、答えるつもりもないので…」