逮捕まで1年かかった理由とは…

物証に乏しい事件で社長の自分が「殺人」で逮捕されるとは、佐々木容疑者にとっては想定外だったのかもしれない。しかし、佐々木容疑者らが高野さんに対して行なっていた暴力やいじめは3年以上も常態化していたとみられ、悪質さが際立っていたようだ。

ただ、今年は2月に浅草のホテル経営者夫婦による次女殺害事件、4月には栃木県内で上野の焼肉チェーン店経営者夫婦が殺害された「宝島事件」が発生するなど凶悪な事件が相次いだ。

5月に事件の関与を否定していた佐々木容疑者
5月に事件の関与を否定していた佐々木容疑者

「本来は浅草の事件の後にこの踏切殺人を着手する予定だったのが、宝島事件の発生で先延ばしになった。そして夏場以降は闇バイトによる強盗事件が頻発し、その対応に追われてさらに延び、ようやく年末に着手できたというところです。

そのため、各社ともGW前には被疑者を特定して映像や写真などを事前に撮って『準備万端』ではあった。しかし、殺人での立件はいまだに難しいとみられており、起訴段階で暴行や傷害など罪名が“格落ち”する可能性はある。

それでも佐々木容疑者は普段から高野さんに対して給料を現金で支給せず、弁当など『現物支給』で済ませていた実態も明らかになった。高野さんが日常的に万引き行為をせざるえなかったのも、そのためとみられています。

そして高野さんは電車とぶつかる際に、身体をよじって側面から衝突しており、自殺企図者とは思えない行動をしていたことも裏付けられています。一方で高野さんは生命保険などには加入しておらず、死亡保険金を狙った犯行ではない。動機は不可思議ですが、悪質な他害事案だ」(社会部事件担当デスク)

立件困難とみられる重大事件に警視庁がどう挑むのか、それとも何か隠し玉があるのか。事件の核心が明らかにされるのは、これからだ。

タバコを吸う佐々木容疑者
タバコを吸う佐々木容疑者
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班