「確かに私たちの店はバカみたいに高い値段ですが…」
8月に日本国内とその周辺では、8月8日に日向灘でM7.1、最大震度6弱、8月9日に神奈川県西部でM5.3、最大震度5弱、8月19日に茨城県北部でM5.1、最大震度5弱と立て続けに強い地震が発生した。
さらにこのころ、気象庁から南海トラフ地震臨時情報が発表されたのだが、これによって観光客がグンと落ち込み、売り上げにも影響が出たのだ。
「お客様の9割ほどは外国人観光客の方なので、そういった情勢はもちろん、円高・円安などの動きは売り上げに大きく関わります。また、季節によってどの国の人が多く来られるのかも変わってきますね。
例えば、2、3月のラマダン(イスラム教の断食月)前では駆け込み需要といいますか、イスラムの方々が非常に多く来店されました。逆に夏になると、暑い地域の国の方が少なくなります。ふだんから暑いところに住んでいる方は、旅行してまで暑いところに行きたくないんですよね、きっと」
さまざまな情勢に左右はされるものの、来年以降の見通しも明るいというインバウンド。しかし、楽観視もしていないという。「神戸牛ダイア」ではハラルメニューの提供や、ラーメンの開発、神戸牛×お好み焼き、鉄板料理など、チャレンジを続けている。
そしてなにより、観光客相手だからといって、“その場限り”と思って対応しないことが大事なのだという。高額なメニューを出すからには、相応のクオリティーとサービスを提供することを心掛けている。
「いまや世界各国、どのお客様もネットのレビューをしっかり見て調べてから店を選んでいますからね。確かに私たちの店はバカみたいに高い値段かもしれませんが、それには理由があり、神戸牛は本当に高いんですよ。
観光客相手だからといって、クオリティーの低いものを高い値段で売ったり、お客様に失礼なことをすれば、それは全世界共通でそっぽを向かれます。私たちはクオリティーも接客サービスも外国の方が喜んでくれ、そこに価値を見出してくれるように努力を続けています」
この日、店を訪れていた外国人客にも話を聞くことができた。5300円の「神戸牛 すき焼き」セットを食べていたのは、タイから来た20歳の女性・メアリーさんだ。