大人のADHDの不注意優位型の特性

以前からGさんは、自分がどこか他の人と違い、やたらとミスが多いことを気にしていたようです。

そして、ネットでいろいろと調べていくうちに「ADHD」にたどりつき、特に不注意優位型の特性は自分のことがそのまま書いてあると思ったそうです。

大人のADHDの不注意優位型の特性には、特に次のようなものがあります。

・忘れっぽい(ちょっとした用事を記憶しておくのが苦手)。
・注意の持続が難しく、気が散りやすい(自分が気になっていることに関心が向く)。
・ときどき、うわの空でぼんやりしてしまう。
・1つひとつの作業がきちんと終わらない。
・忘れ物やなくし物が多いので、捜している時間が長い。

不注意優位型の特性は、成人になっても持続することが多く、失敗ばかりの自分に嫌悪感を抱いて抑うつ状態になることもあります。

写真はイメージです
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Gさんは、抑うつ状態になっているような印象はありませんでしたが、きちんと診断を受けてはっきりさせたいと筆者のもとに相談に訪れたこともあり、発達障害の専門医を紹介しました。

医療機関を受診後、不注意優位型のグレーゾーンだったということですが、不注意の特性を和らげる薬(コンサータ)を処方され、それがよく効いており、受診して良かったと話していました。

Gさんのように発達障害のグレーゾーンであっても、状況次第では薬が処方されます。

文/舟木彩乃 写真/Shutterstock

『発達障害グレーゾーンの部下たち』 (SB新書)
舟木彩乃
『発達障害グレーゾーンの部下たち』 (SB新書)
2024/11/7
1045円(税込)
232ページ
ISBN: 978-4815626372

あなたの職場にモヤッとする人はいませんか?もしかしたら発達障害グレーゾーンかもしれません。 

発達障害に関する情報は多いですが、職場にいる彼らと共に仕事をすることについては、必ずしも正確な情報が広がっているとは言えません。本書のテーマである「グレーゾーン」は、発達障害の傾向がありながら、その診断が付いていない人たちです。なおさら正確な情報は、みなさんに伝わっていないのではないでしょうか。
グレーゾーンには、発達障害の人とは少し違った特性があります。
筆者はカウンセラーやアドバイザーとして、これまで行政機関・民間企業・病院などで、約1万人の悩みを聴いてきました。その中には、グレーゾーンの人たち、さらにその上司や部下に当たる人たちもたくさんいました。
グレーゾーンの部下を持つ上司が、部下の言動に振り回され、管理能力がないと評価されて悩んでいる。グレーゾーンの上司を持った部下が、上司の指示がコロコロ変わり、ストレスで会社に行くことが嫌になっている――最近では、職場でのこんなケースに対する相談が増えてきました。
本書は、主にグレーゾーンの部下を持った人に向けて書いていますが、グレーゾーンの上司を持ったときの対応法についても書いています。部下に関する相談は以前からたくさんありましたが、上司に関する相談は、国会議員や首長などのパワハラ報道をきっかけに増えてきた印象があります。
発達障害グレーゾーンは、社会に出てから発覚するケースが多く、職場のサポートには課題が多く残されています。本書は、発達障害グレーゾーンの特性から、彼らとの関わり方まで、職場で起こりうる事例をもとに分かりやすく解説しています。一方で、グレーゾーンの人たちが持つ特性をいかすことも組織全体の成長のチャンスにつながります。第6章では、組織としてできることについて具体例を挙げてご紹介しています。
違和感を抱く部下や上司を持った人、職場のストレスマネジメントに関わる人の必読の一冊です! 

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