今季1軍初登板で見せた「衝撃の光景」

そんな田中を巡っては、今後は複数球団による争奪戦が予想されている。

「日米で培った経験、投球術は大きな武器。さらに彼のこれまでの経験を若手選手に伝授してもらえたら球団としてメリットも大きい。あれだけの人気選手だから、加入すればグッズ収入だって見込めるだろう」(前同)

その一方で日本復帰後、4シーズンの成績は登板73試合で、20勝33敗。昨年はリーグ最多の11敗を喫し、防御率は自己ワーストの4.91。今季はわずか1試合の登板で自身初のシーズン未勝利に終わっていた。この“右肩下がり”の状況に不安がないわけではない。

「昨年10月に右ヒジのクリーニング手術を受け、今季は春季キャンプこそ1軍スタートだったが、なかなか調子が上がらず、二軍暮らしが続いた。今季初先発となった9月28日のオリックス戦(楽天モバイルパーク)では、変化球主体にモデルチェンジした姿を見せたが、“神の子”の代名詞だったスライダーのキレはなく、ストレートも最速147キロどまり。

腕の振りがにぶく、球は上ずり、決め球となるボールもなかったため、終始、投球の組み立てに苦労していた」(パリーグ・スコアラー)

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結局、この今季、唯一となった1軍登板は、5回、93球で6安打4失点、最速は147キロを記録したが、奪三振はわずか1つだった。この結果に田中は、

「球場全体ああいう声援をいただけてすごく嬉しかったですね。こういう試合にしてしまってるので、結果が全てかなと。マウンド上がったら、自分の事情なんか関係ないんで、今日はこういう投球になってしまってゲームを落としてしまって悔しいです」とのコメントを残した。

「399日ぶりの本拠地1軍マウンドながら、田中は本来の投球ができないことに、マウンド上でイラだっているようにも見えたし、対戦したオリックス打線も、『これが本当にあのマー君なのか』と驚いていたのではないか。

もちろん、あれが本来の投球だとは思わないが、今後、どこまで復活を望めるかは未知数。純粋に“戦力”として考えるのならば、年俸次第ではあるが、慎重になる球団も多いのではないか」(前同)

現時点では先発投手のコマ不足に泣くヤクルト、菅野智之のメジャー移籍の際にはその穴埋めをしたい巨人、さらには井上新監督を迎えて新風を呼び込みたい中日などの争奪戦参戦が噂されるが、はたして。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 写真/共同通信社