17年間で9度の優勝は巨人の伝統のおかげ 

どんなに優秀な選手でも、自然の法則にはかなわない。太陽は永久に毎朝東から昇って西に沈み、万物に平等に降り注ぐ。これが自然の法則だ。

もし原が「これまで巨人だからこそ勝ててきたのであって、その巨人で3年続けてリーグ優勝できず、11年も日本一になれなかったことで、自身の野球に疑問が生じた。だから、しばらく弱いチームで野球の勉強をし直します。いろんな勉強をさせてもらいます」と言ったらほめてやる。

それで勉強し直せば、指導者としてもっと偉くなって、野球界がよくなっていくからだ。原はまだ60代半ば。辞めるといっても永久に辞める必要はない。他球団で勉強を積んでまた巨人に帰ってくれば、これまでとは違ったレベルの野球を見せてくれるだろう。

しかし原は、「17年間で9回のリーグ優勝の功績は本当に大きい。ジャイアンツの伝統、ジャイアンツの魂を今後に伝える役割としては原監督以外にない」という山口オーナーのすすめで「オーナー付特別顧問」に就任した。

私に言わせれば、せっかく外の世界で大きく成長できるチャンスを逃したのは惜しいが、これまでと同じぬくぬくとした環境で後任の阿部に口出しをするのだけはやめてほしい。

写真/shutterstock
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『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』 (朝日新聞出版)
広岡達朗
『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』 (朝日新聞出版)
2024年11月21日
1320円(税込)
176ページ
ISBN: 978-4023323773
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