出戻りから約1年、現在の状況は

出戻り採用での配属は、新卒時の接客部署とは異なるネットショッピングの営業事業部だった。在宅勤務もあり、比較的自由の利く働き方だったものの、入社して1年経たずに結果的に再び会社を退くこととなったという。いったい何があったのか。

「業務が絶望的に自分に合わなかった。まあ会社もリスクは負いたくないのは分かっていたんですが、事務作業ばかりで自分の強みがまったく活かせないなと思って。いずれは新卒時の接客部署か、履歴書にも書いた『英語を活かせる』部署に行けるかなと希望を抱いていたんですが、その見通しもなく…。

ただ会社で働いているうちに、もしも希望の部署に行けたとしてもまた病気になるんじゃないかって気付いたんです。というのも、私が退職するときも、出戻ったときも、休職者をゴロゴロだしていて。休職者に問題があるというより、社員が無理をせざるを得ない会社の体制に問題があって、そういう体質は今後も変わらないだろうなって、出戻ってみてようやく気付けたんです」

出戻り入社して半年経った頃から転職活動を開始し、今冬、外資系の企業に就職が決まったKさん。「出戻り失敗しちゃいました」と照れ笑いしつつも、その表情はとても晴れやかだった。

もし古巣に戻ることを考えている人がいたら、どうアドバイスするか―。そう問いかけると、Kさんは、しばらく考えた末にこう口を開いた。

「一番は出戻り先の会社の内情を知っておくこと。これに尽きます。まず、出戻り先で『何をやりたくて、何ができるのか』。さらにそこに関して、『自分の希望が通りそうか否か』。あとは、『退職理由に関して、もう一度ひっかかるところはないか』。戻ったとしても、やりたいことはできないし、また体調を崩すかもしれない。そういうリスクがあるので、古巣への出戻りを考える際には、今も働いている同僚や先輩に話を聞いて内情を調べておくことを強くお勧めします」

出戻り後に再退職を決めたKさん
出戻り後に再退職を決めたKさん

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部