トランプの勝因はS N S?

2020年にバイデン氏がトランプ氏に勝利したときは、若者票については20ポイント以上の差をつけたが、ハリス氏は今回、そこまで圧倒的な若者支持を勝ち取れなかった。これはメッセージングのうまさやSNSの使い方にも原因がありそうだ。

「トランプ氏は、現代的な手法を使ってZ世代の若者の男性票を取り込みました。

Xのような、不特定多数が自由に見られる開放性の高いSNSだけでなく、特定の視聴者向けのPodcast、Xよりユーザーも少なく、その分、不特定多数にさらされることを躊躇われるような内輪向けの発言もしやすいSNSもうまく使っていた。たとえば、Reddit、Discordです。これらも利用し、若い有権者たちとより近い距離感でコミュニケーションを取っていた」

一方、ハリス陣営は、ビヨンセ、レディー・ガガが終盤に登場し注目を集めたが……。

「そういう著名セレブリティーがどれだけ有権者の票を動かすのか?というところには疑問符がつくところ。トランプ陣営のほうが、どういう層を獲得できるのか? ターゲット層をより絞り、効果的なメッセージングをしていた側面を感じます。それが勝因のひとつではないでしょうか」

世界的人気歌手のレディ・ガガもハリス勝利の後押しとはならなかった
世界的人気歌手のレディ・ガガもハリス勝利の後押しとはならなかった

トランプ氏の再選という結果がでたところで、気になるのは日米関係である。

石破茂首相は、6日夜に会見を開きトランプ氏への祝意に加え「トランプ氏と連携を密にしながら日米同盟、日米関係をさらなる高みに引き上げていきたい。トランプ氏と接点を早急に持つべく努力していきたい」と日米関係のさらなる強化への思いを語った。

しかし、一筋縄ではいかなそうだ。

「日米の間に“蜜月”をつくりあげた、安倍晋三元首相、トランプ氏の外交が当然想起されるでしょう。石破氏としてもいち早く面会したいところだと思います。

ただ、8年前とはアメリカを取り巻く国際環境は随分変わっています。

1年以上、パレスチナ自治区ガザで多くの犠牲を生みながらもイスラエルへの軍事支援を続けてきたアメリカへの批判は、世界的にも高まっています。

また、南半球の新興国を中心とする“グローバルサウス”と呼ばれる諸国家の存在感が増し、欧米への非難の声が増幅しています」

日米“蜜月”関係の構築にばかりに意識を向ける行為は、日本も国際社会で孤立する危険性をはらんでいるようだ。