パレスチナの問題はいつか世界のニュースから消える
——お話を伺っていて、モハマドさんには悲愴さと同時に力強くまっすぐな怒りと信念を感じますが、デヴィッドさんの表情からは哀しみと動揺が伝わります。
デヴィッド おっしゃる通りです。私は、この状況でイスラエル人として生きることが非常に辛い。このようなジェノサイドを行っている側の一員であることが辛い。しかし私はその責任を感じています。
イスラエルと同じ側に立つことは決してできないが、同時に私はこのイスラエル社会の一部であり、そこで暮らし生きている。その責任を感じています。この状況に対して立ち上がる唯一の方法として、私は映画を作っているのです。
だからみなさんも、どうかこのことについて知ってほしいし、忘れないでほしい。おそらくパレスチナの問題はゆくゆく世界のニュースから消えてしまうでしょう。だからこそ、この問題を、あなたたちの友人や、周囲の人たちと話しつづけて、話題にし続けてほしいと心から願います。
モハマド 私たちは抵抗の旅を続けなければなりません。知識を得ること、人と繋がること。人々に影響を与えること。私たちにはさまざまな形の抵抗があります。頭を上げて、決して落ち込まないことがとても重要です。私は人間を信じています。
——この記事もひとつの抵抗となりえますように。ありがとうございました。
取材・文/岩崎眞美子
イスラエル軍に対する抵抗の投石で逮捕され、数年間投獄された子どもたち。入手された当時の苛酷な尋問の映像を、数年後に4人の少年が振り返りインタビューに答える。逮捕に参加した兵士、イスラエル治安機関の元副部長、人権弁護士、元軍検事のインタビューも収録。優れた教育映像に授与される「日本賞(Japan Prize)」2023年のグランプリを受賞。