「有権者はゴミではない!」トランプがゴミ収集車で登場

バイデン大統領はマイクロ票の争奪戦の中で、ペンシルベニア州のプエルトリコ系住民票を引き寄せようと擁護発言したつもりが、有権者そのものをゴミ扱いした格好になったというわけだ。

「トランプ氏もここが攻めどころと、10月30日のウィスコンシン州での集会ではこれみよがしにゴミ収集車で乗りつけ、『有権者はゴミではない』と叫ぶパフォーマンスを演じたほどでした。

私が驚いたのは、このバイデン発言を火消ししようと、ホワイトハウスの報道官室が大統領発言録の修正に動いたこと。大統領の公式な発言はどんな短いコメントであっても記録保存され、ホワイトハウスのホームぺージに逐次公表されます。

このバイデン発言も当然、全文が掲載されたのですが、報道官室は問題となった「彼の支持者たち」(his supporters)というワードの最後の2文字、「r」と「s」の間に「’」(アポストロフィ)を速記担当部署に無断で加えてしまったんです」

要は「’」がなければ、「彼(トランプ候補)の支持者」の複数形となり、「支持者」=「有権者たち」となるが、「’」が入ると前後の文脈からしても「彼(トランプ候補)の支持者の~」となり、「ヒンチクリフ氏の差別発言」を指すことになる。

「有権者はゴミではない」ゴミ収集車に乗ってアピールしたトランプ
「有権者はゴミではない」ゴミ収集車に乗ってアピールしたトランプ

「そう。『’』が入るだけで、バイデン発言を批判する根拠がきれいさっぱり消えてしまうんです。バイデン発言が有権者の反発を呼び、ハリス候補の命とりになりかねないという恐怖心から速記局に無断で修正に走ってしまったのでしょうけど、一度公表された大統領発言を何の協議もなく修正するなんてあってはならないことです。

有権者の心証は最悪で、ハリス陣営にとって痛手となったのはまちがいない。米大統領選にはオクトーバーサプライズということばがあります。投票日の1か月前の10月に選挙戦に甚大な影響を与えるような驚きの出来事がしばしば起きるという意味です。

今回はこの「‘」をつけたホワイトハウスの改ざん行為がオクトーバーサプライズと呼ばれる出来事になるかもしれません。激戦7州のマイクロな票を取りこぼさないために、「’」を加えるというミクロな改ざんにホワイトハウスが走ってしまう。まれにみる接戦となった今回の米大統領選を象徴するような話です」

投票は日本時間5日午後7時から東部バーモント州など各州で順次、始まる。6日朝以降に投票を締め切り、即時開票される。

取材/集英社オンライン編集部ニュース班