パニック障害を救った北島三郎の言葉

――大江さんが初めてテレビに出演したのは「さんまのSUPERからくりTV」(TBS系)でしたね。ちなみに、安住さんにはどのような相談を…?

たとえば、初めて上京したきにも「どうしたらいいの?」と電話しましたね。そのとき安住さんは「周りの人がなんとかしてくれるよ」と(笑)。

人生の路頭に迷ったとき、僕は安住さんを頼るようにしているんです。考えることがまったく違うので、すごく参考になるんですよ。

それに、安住さんがいなかったら、さんまさんの番組にも出演できていないですし、演歌歌手としてもデビューできていない。だから、今でも人生の恩師として、悩んだら連絡を取るようにしています。

パニック障害を発症し、一時は歌うこともできず…そんな大江裕の背中を押した師匠・北島三郎の言葉〈サブちゃん、さんま、安住アナ…3人の師匠に育てられた演歌道〉_5

――大江さんは2010年にパニック障害で休養されていた期間があります。当時はどのような状態だったのでしょうか?

僕の場合は、音楽でパニック障害になりました。ステージで倒れてからは、歌うのはもちろんのこと、音楽を聴くことすらできなくなってしまって。何度聴いても「怖い、怖い」と。

そういう状態が半年くらい続いて、自分の中でも「クビになる」と思っていたんです。すると、「北島先生が呼んでいる」と言われて、2人っきりの部屋に入るなり、僕は「すみませんでした」と土下座をしたんです。

そうしたら、北島先生が僕の頭を撫でてくれて、「裕、今は休む時期だ。ここまでよく頑張ったな。俺の弟子をやらないか。一緒に旅に出よう」と言ってくださったんです。

パニック障害を発症し、一時は歌うこともできず…そんな大江裕の背中を押した師匠・北島三郎の言葉〈サブちゃん、さんま、安住アナ…3人の師匠に育てられた演歌道〉_6

――当時の大江さんにとっては、北島先生とともに外に出ることが、リハビリになったんですね。

はい。だから、うつ病やパニック障害になってしまった人に対して、僕が言いたいのは、「1歩ずつリハビリしてください」ということ。

無理矢理治そうとするのは、絶対にいけません。自分がちょっと外に出たいな、散歩したいな、と思ったときに、少しずつ進んでいければいいのだと思います。

〈後編へつづく:『35歳になる演歌歌手・大江裕、祖父母の「孫が見たい」発言が一番の悩み…』〉

『北海ながれ歌/さいはて浪漫』大江裕(CROWN MUSIC)
2024年11月6日発売(税込1500円)

パニック障害を発症し、一時は歌うこともできず…そんな大江裕の背中を押した師匠・北島三郎の言葉〈サブちゃん、さんま、安住アナ…3人の師匠に育てられた演歌道〉_7

酔えばあいつの呼ぶ声が、北の夜空で風に舞う...
大江裕の新曲は、北海道を旅する路地裏演歌!!

デビュー 15周年を通過し、新たな一歩を踏み出す大江裕の今作は、大江裕の新曲は、北海道を旅する路地裏演歌!!
HBC「大江裕の北海道湯るり旅」という番組が不定期ながら3月よりスタートし、それに伴う北海道方面での活動が増えたことを踏まえてのリリースとなりました。作曲の弦哲也氏とは初顔合わせ。カップリングも北海道がテーマのスケール感のあるメジャー演歌です。

取材・文/毛内達大 撮影/井上たろう