原因はインバウンドだけでなく……

清澄白河は半蔵門線のほか都営大江戸線も通っているが、カフェタウンは数駅ほど行ったところにも。近年、おしゃれカフェが相次いでオープンし、“下町のブルックリン”とも呼ばれるようになった蔵前だ。

“下町のブルックリン”とも呼ばれるカフェタウン・台東区の蔵前(撮影/集英社オンライン編集部)
“下町のブルックリン”とも呼ばれるカフェタウン・台東区の蔵前(撮影/集英社オンライン編集部)

ここは清澄白河周辺よりもさらにカフェが林立しているのだが、複数の店舗に話を聞いたところ、やはり人の多さは感じているとのこと。

また、浅草という一大観光地の徒歩圏内であるためか、外国人観光客の影響はさらに顕著なようだ。

蔵前にはこのようなおしゃれな外観のカフェが多い ※写真は蔵前にあるカフェで前後のコメントとは関係ありません(撮影/集英社オンライン)
蔵前にはこのようなおしゃれな外観のカフェが多い ※写真は蔵前にあるカフェで前後のコメントとは関係ありません(撮影/集英社オンライン)
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「浅草は日本人も多いけど、外国人の観光客もたくさん来られます。でも川沿いのスカイツリーが見える店とかは、若い女性中心に待ちがすごいですよ。インスタ映えみたいな需要もあるのかもしれません」(蔵前カフェ店員・50代男性)

「カフェなんて薄利多売だから、あまり長居されちゃうと商売上がったりよね。ウチはスイーツだけのお客さんが結構来るから、ワンドリンク制にしたの。最近は、心苦しいけど値上げもして。この辺りは外国人観光客が多くて、彼らにとっては値上げしてもまだ安いから買ってくれる。日本人のお客さんには悪いけど……」(蔵前カフェ店主・40代女性)

蔵前から望む隅田川とスカイツリー。その眺望から、川沿いのテラス席がある店は連日長蛇の列だという(撮影/集英社オンライン)
蔵前から望む隅田川とスカイツリー。その眺望から、川沿いのテラス席がある店は連日長蛇の列だという(撮影/集英社オンライン)

取材を進めるなかで、多くの店が“混雑問題”の要因に挙げたインバウンド。

しかし、これはあくまで一因にすぎず、SNSやリモートワーク、果ては季節の影響も大きいそうだ。

蔵前のおしゃれカフェ ※写真は蔵前にあるカフェで前後のコメントとは関係ありません(撮影/集英社オンライン)
蔵前のおしゃれカフェ ※写真は蔵前にあるカフェで前後のコメントとは関係ありません(撮影/集英社オンライン)

「ウチは予約優先でやっていて、混雑回避のため90分制を採っています。だいたい平日は15組くらいで、土日祝日は40~50組ほどでしょうか。
混雑問題の要因はインバウンドもありますが、コロナが終わって外出する人が増えたことと、何よりもSNSから火が付いたカフェブームが主かと感じます」(蔵前カフェ店主・30代男性)

「そもそもカフェはおしゃべりに使う方が多いので、回転率は悪いです。そこに、コロナ以降リモートで仕事するようになった人がPCを持って来店されたりして、より滞在時間が長くなった印象です。
ウチはWi-Fiもないですし、混雑時には席をお譲りできないかうかがったりしてます」(清澄白河カフェ店員・30代男性)

「ウチはWi-Fiやコンセントも提供してますが、PCで作業される方は回転も悪いし、ワンドリンクやフード1品でずっといられると困るのが正直なところですね。『何かおかわりされますか?』とか、お声がけするようにはしているのですが……」(蔵前カフェ店員・20代男性)

「並ぶほど人が集まるのは、みんな涼みに来るのもあるのよ。今年の夏は特に暑かったしね。でも夏だけじゃなくて、今度は冬になると、温まりに来る人でもっと混むわよ。カフェは温かいものを出すから」(蔵前カフェ店主・40代女性)

利用者にとっては嬉しいが、店側は困りながらも提供してくれているようだ ※写真は蔵前にあるカフェで前後のコメントとは関係ありません(撮影/集英社オンライン編集部)
利用者にとっては嬉しいが、店側は困りながらも提供してくれているようだ ※写真は蔵前にあるカフェで前後のコメントとは関係ありません(撮影/集英社オンライン編集部)
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情報が氾濫したSNS社会、オーバーツーリズム、“地球沸騰化”とも呼ばれる気候変動……。“都心カフェ混雑問題”は現代社会のあらゆる問題が反映された、想像以上に根深い現象なのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班