自称“自民党唯一のリベラル”
愛媛県北東部。瀬戸内海をのぞみ、江戸時代には今治城の城下町として栄えたのが、今治市だ。
瀬戸内工業地域の一角を占め、造船業に加え、「今治タオル」のブランドが広く知られているこの街で、1986年の衆院選での初当選から実に38年の長きにわたって村上氏は議席を守り続けている。
「やることはやるし、とにかくウソがない人やわ」
村上氏の人柄をこう評するのは、今治市議会のある重鎮市議だ。
「本人は自民党唯一のリベラルって言って頑張っとる。性格は一旦決めたら曲げんのやな。金融と財政と、もう同じことをずっと言っとる」
東大法学部を卒業後、河本敏夫元通商産業相の秘書から国政入りを果たした村上氏は2004年9月、第2次小泉改造内閣で行政改革担当相として初入閣した。
過度な財政出動に慎重な姿勢を崩さず、2016年に安倍元首相が翌年の消費増税の延期を決断した際には、「首相が言ったらすべて従うのか」と猛反発。
自民党税調会長として消費増税を巡って安倍元首相と対立した野田毅元自治相とともに「脱アベノミクス」を掲げるグループを立ち上げて波紋を呼ぶなど、「財政規律派」の立場を貫いている。
安倍元首相との遺恨はこれにとどまらず、2013年11月の特定秘密保護法案の採決では体調不良を理由に議場から退席。「憲法を有名無実化する」などと訴えて党内で唯一反対し、政敵であるはずの日本共産党の機関紙「赤旗」でも取り上げられる異例の事態となった。