トイレに行くことすら怖い…、双子のワンオペ育児でうつ病に 

だが、いざ育休に入ると、育児が労役から楽しい時間へと変化した。

毎日家族4人で公園に行ったり、ショッピングモールに出かけたり、住宅展示場で物件を見たり、妻と2人で育児に集中できる時間がかけがえのないものだと感じ、「みんなこんな楽しい育休を取らないなんてもったいない」ぐらいに思うようになっていった。

双子の育児に奮闘する平松勇一さん
双子の育児に奮闘する平松勇一さん

そんな平松さんの状況が一変したのは、育休を取得して11カ月が経った2019年2月。
妻が週3日のパート勤務を始めたことで、日中に双子の面倒を一人で見るワンオペ状態になったことがきっかけだった。

常に自分の横にいた妻がいなくなってしまった状態での育児。週3日、日中の6時間程度であったとはいえ、2人の我が子の命を預かる重圧が急に肩にのしかかってきた。
 

離乳食を与え、オムツを変え、泣いたら抱っこしてあやす。2人はハイハイで部屋中を動き回り、つかまり立ちして転んだりもする。自分が目を離したすきに、転んで頭を強打しないか、といった最悪な状況ばかりが脳内を駆け巡り、トイレに行くことすら怖くなったという。

「妻がいたときは、子どもがミルクを吐き出したりしてもその都度感想を言い合ったりして笑いに変えていたけど、1人になった瞬間、負担が倍以上に増えたうえに、大人の話相手がいなくなってしまったこともとても大きかった」(平松さん)

あれだけ楽しかった育児が全く楽しいと思えなくなっていった……さらに頭をよぎるのは復職が迫った職場のこと。

「転職したばかりなのにすぐに1年も育休を取ってしまったし、もう居場所なんてないんじゃないか」

「今後、自分は何を楽しみに生きていけばいいのか」

と、気持ちが落ち込んだり、ふさぎ込む日々が続いた。

ある日、双子が泣きわめいている傍で抱えてあやすこともなく、ぼーっと窓の外を眺める平松さんの様子に異変を感じた妻が心療内科の受診を勧めたことで、「うつ病」であることがわかった。

双子を背負って抱えて奔走する平松勇一さん
双子を背負って抱えて奔走する平松勇一さん