初期症状のチェックポイント
アルツハイマー病の主な兆候は記憶力の低下だ。加齢によるもの忘れとの違いは、日常生活に支障がでるかどうかである。加齢によるもの忘れの場合、昼食の内容や友人との待ち合わせ場所など、体験の一部を忘れる程度にとどまる。
一方、認知症によるもの忘れでは、食事をしたこと自体や友人との約束そのものを忘れてしまう。さらに、認知症の場合は忘れたこと自体を認識できないことが多い。
このように、加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違いは比較的明確である。ただし、アルツハイマー病の症状はゆっくりと進行するため、初期段階では加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの判別は専門医による問診でも困難だ。
発見するには検査が必要になるため、以下のような症状が増えていく場合は、医療機関の受診を検討する必要がある。
なお、病院を受診する際は、いきなり専門の医療機関を受診するのではなく、まずはかかりつけ医に相談し、紹介状を得るのがよいという。
「紹介状なしで総合病院を受診すると、医療費とは別に選定療養費が加算されることがほとんど。そのため、まずは地域の診療所やクリニックを受診するのがおすすめです」
初診の段階では医師が問診や神経診察を行い、認知症が疑われる場合は画像診断を行う。患者や病院の方針によって、MRI、CTスキャン、脳血流SPECT(スペクト)といった検査が行われる。いずれも保険適用で3割負担時の費用の目安は以下の通りだ。これに加えて、その他診察料などが発生する。
最近は地域の自治体が「もの忘れ相談」を実施している機関を紹介していることが多く、かかりつけ医がいない場合も早期のもの忘れチェックができる。
認知症かどうか判断に迷った時に病院に行くのは大げさと感じる人も、もの忘れ相談なら気軽に利用しやすい。無料で相談できる場合も多いため、住んでいる自治体のホームページを確認してみるとよいだろう。