表記の変更は「子どもや教師にとって大きな負担」
このように一部の教科書の変更で、にわかに浸透しつつある「シャヴィエル」の表記。こうした教科書改訂を、教育現場はどう捉えているのか。兵庫県の公立小学校教諭に聞くと、「子どもや教師にとって大きな負担」と語る。
「4年に一度、現場で教科書の改訂内容を目にしていますが、とうてい子どもたちの実になるものとは思えませんし、大きな負担になっていると思います。当然、教師にとっても同じで『あれ? 今までどうやって教えていたっけ?』と常に苦戦しています。
私自身、小学生のときは学年によって円周率を「3.14」で習ったり、「3」で習ったりと振り回されてばかりでしたよ。学習塾に通っている同級生は当然、難しいほうで習いますよね。なので、親の収入によって教育格差がどんどん広がっていくことを実感しました。
文部科学省には、子どもたちや教師のことをもっと考えてほしいと思います。今のままでは、子どもが振り回されるだけで、とても意味のある内容改正とは思えない。無意味な教科書改訂に時間を割くのであれば、教員不足をはじめ、不登校の問題など積み上がった問題に対して、ひとつひとつ解決していく姿勢を見せてほしいと、正直思います」(30歳・男性・兵庫県公立小学校教諭)
現場の教師に話を聞くと、表記の変更とは別に、教科書改訂にはさまざまな問題が隠れていることがわかった。長野県の公立小学校教諭は「文部科学省は教科書改訂にあたり、どんな狙いで行なったのか、説明してくれない」と不満を漏らす。
「教科書改訂に反対する教師はいませんし、なかには『今回はどう変わったのだろう』と1ページ1ページ確認しながら、楽しんでいる様子の教師もいますよ。でも、やはり『こういう狙いで変えた』ということは説明してほしいですし、何より、どの箇所をどのように変更したのか提示してほしいと思います。
我々は文部科学省が定めた内容に従って子どもたちに指導する必要があるので、仕方がないことだとわかっていますが、大変そうにしている児童を見ると複雑になります。学習指導要領改訂によって中学校で習う内容が小学校におりてくることもあり、苦戦している児童もいるんです」(20代・男性・長野県公立小学校教諭)