「補助金を出している産業労働部が寄付金集めをするというのは…」

昨秋、所管の産業労働部地域経済課と財政課は補正予算の算定で、総計1000の事業者に金融機関が支援をすることを見込み、1件当たり10万円ずつ、計1億円を計上する計画を立てた。

ところが片山副知事が「これじゃ足りん。4億にせえ」と増額を指示。これを受けて産業労働部が3億7500万円に増額した事業説明書を作り直したところ、今度は斎藤知事が「まるく」4億円にしろとさらに増額を要求し、その通りに予算が付いている(♯5♯8)。

産業労働部の説明と、丸尾牧県議が情報公開で開示を受けた資料の分析によると、問題の補助金は、20の金融機関に計3億9995万円の交付決定が行われている。うち計3億5565万円の交付先となっている13金融機関がパレードに協賛金を出しており、その額は1金融機関当たり1100万~4900万円とみられている。

斎藤知事はこれまで「(補助金事業は)パレードの寄付集めとは別の事業としてやってますので、それぞれ適切な対応をしていると私は認識している」と説明し、二つの事業は分離されていると強調してきた。

斎藤元彦知事(右)と、片山安孝氏(左)(写真/共同通信社)
斎藤元彦知事(右)と、片山安孝氏(左)(写真/共同通信社)
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ところが8月19日の県議会の産業労働委員会で「金融機関を対象にしたパレードの寄付金集めを産業労働部がしなかったか」との丸尾県議の質問に同部総務課長は、「産業労働部からは約30社に(寄付金を)協賛依頼文書で企業に依頼しております。金融機関はそのうち3社」と答弁。同部の別の幹部は、この3金融機関にはいずれも補助金の交付が決まっていることも認めた。

「補助金を出す部署であり、金融機関の監督も担う産業労働部が、“寄付金を寄越せ”と金融機関に求めることが問題だとわからないのか」と、県関係者は異常さを指摘する。

産業労働部は「寄付金集めは当初、大阪府と兵庫県と経済団体で実行委員会を作り『兵庫県につきましても、全庁各部で積極的にお願いしてください』ということだった。われわれとしても積極的にお願いに回った」と、通常の業務であったかのように委員会で説明したが、これを説明したのは前述のコーヒーメーカーを受領した部長である。

だが「補助金を出している産業労働部が寄付金集めをするというのは道義的に許されないのではないか」と丸尾議員に突っ込まれると、「批判を招くことがあったということはしっかりと受け止めて今後に生かしたい」と釈明に追い込まれた。

“批判を招く”どころではなく、補助金問題への視線はますます厳しくなっている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班