適度な〝賞賛〟を報酬とするのは正解

褒められた人は、脳内のA10神経が刺激されてドーパミンが放出され、強い幸福感に包まれるからです。

アメリカの教育心理学者、ロバート・ローゼンソール氏が行った実験では、「教師に褒められて期待された生徒」と、「そうでない生徒」では成績の伸びに明らかな違いが見られるという結果が出ています。

この実験は1960年代に行われたものですが、その後「再現性がない」などと反論する学者が現れるようになりました。

しかし、このローゼンソール氏の発見した「褒めの効用」については、「ピグマリオン効果」(pygmalion effect)という名称がつけられ、現在では非常にポピュラーな心理学用語のひとつとなっています。

ピグマリオン効果とは、ひとことで言うと、「他人から期待されることによって学習・作業などの成果が上がる現象」のことです。

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褒められるとやる気になって、アウトプットの結果がよくなるというサイクルは実証されているのです。現代では、ヴァーチャルなSNSの世界においての「いいね」の数や、肯定的なコメントも「褒める行為」にほぼ相当すると言えるでしょう。ですから、適度な〝賞賛〟を報酬としながら、努力を積み重ねるという姿勢は正解です。