「他者の人生を生きることになる」

しかし、そこにはある種のリスクもひそんでいます。

「承認してくれる」のが他人であるということは、常に他人の視線や評価を気にかけることになります。

身近な例で言うと「『いいね』の数を、常に確認せずにはいられない」「『いいね』の数に一喜一憂する」ということになりかねません。それはけっして「心が自由な状態」とは言えないでしょう。

そのあたりの問題については、300万部を突破したベストセラー『嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎・古賀史健著/ダイヤモンド社)でくわしく説かれています。

本書は有名なアドラー心理学をわかりやすく解説したものですが、承認欲求については「不自由」というとらえ方をしています。他者からの承認を求めてばかりいると、最終的には「他者の人生を生きることになる」というのがその理由です。

同書には、次のような記述もあります。

「自らの生について、あなたにできるのは『自分の信じる最善の道を選ぶこと』、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です」

ただし、科学的に見ても「他者に承認を求める気持ち」は健全なものです。それを完全に抑え込んだり無視したりする必要はありません。

「褒められること」は脳の栄養、などと形容する専門家もいるくらいです。