失礼なパブリシストに注意しなかった
オーストラリア人らしい、大らかで明るく優しい人のイメージがあるヒュー・ジャックマンですが、ある映画のプロモーションで来日したときに、スタッフに甚だしく失礼な態度をとる女性パブリシストを連れてきたことがあってね。
これまで何度も日本のスタッフが映画をPRして盛り上げてくれたことを知っているはずなのに、失礼なパブリシストに何も注意しない彼の態度を残念に感じたことがありました。
ただ、彼自身は本当にいい人で、ブロードウェイで『オクラホマ!』に出演した後の来日のときなど、プライベートの時間に頼むと、脚を上げて『オクラホマ!』の主題歌を歌い、踊ってくれたりしたの。インタビュー中もサービス精神たっぷりに、おもしろおかしく話を聞かせてくれる人でした。
見るべき1本を挙げるとするなら『レ・ミゼラブル』(2012)かしら。
ミュージカル映画では事前に録音された音に合わせて芝居をすることが多いけれど、あの映画では実際に撮影現場で芝居をしながら歌を歌ったそう。
ブロードウェイ→ハリウッドに進出したスターは多いけれど、真逆にハリウッド→ブロードウェイのスターになったのは、私の知る限り、彼くらい。本当に才能豊かな俳優です。
語り/戸田奈津子
アートワーク/長場雄
文/松山梢