「そもそも私自身、林眞須美が犯人で間違いないと思っていた」

━━二村監督が、事件を検証するドキュメンタリー映画を撮ろうと考えたのは、林眞須美死刑囚の長男・林浩次(仮名)さんが出席するトークイベントを見に行かれたのが発端だとか。もともと、カレー事件に興味があったのですか?

二村真弘監督(以下、同) いえ。死刑囚の家族として自身の体験をつづった書籍を出版し、SNSでの発信も始めるなど話題になっていたのもあり、そのときは林眞須美の息子を見てみたいという興味本位だけでした。

そもそもでいうと、私自身は林眞須美が犯人で間違いないと思っていたんです。イベントにはテレビの取材班が入っていて、いつ番組になるのだろうと思っていたら、なくなったという。

再審開始が決まらないことには冤罪の可能性について検証する番組は放送できないと上からストップがかかったと知り、スイッチが入ってしまった。

映画『マミー』を監督した二村真弘氏
映画『マミー』を監督した二村真弘氏
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━━他の取材者が断念したことが、逆に火をつけた?

裁判所のお墨付きでなく、なぜ、自分たちで判断できないのか。ひとつひとつ資料を調べなおしていくと、どうもこの事件はおかしいんじゃないかという思いが強くなったんですね。

トークイベントに参加したのが2019年で、その年末には取材をスタートさせていました。世の中が新型コロナウイルスの影響で、私の仕事が激減したこともあり、だったらやりたいことに集中しようと。