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「クローズアップ現代」が裁判所の判断に疑問を呈す

妻に対する殺人ですでに2度、有罪判決を言い渡されている朴被告は「間違っている!」「やっていないよ!」と法廷内で叫んでいた。そんな朴被告の無罪を信じ、4人の子どもたちは帰宅を切望しながら面会に通い、亡くなった佳菜子さんの親族も朴被告を支援している。2022年11月に最高裁が異例の判断をする前には、NHKが踏み込んだ番組を放送をしたことが話題になった。

司法担当記者が解説する。

「2022年4月にNHKの『クロ現』(『クローズアップ現代』)が朴被告の事件について、まるでえん罪事件のように報じたんです。高裁判決が出て、最高裁がまだ何の判断もしていない段階です。今話題になっている袴田事件(1966年)のころならまだしも、近年、しかも殺人事件でえん罪が起こるとは考えにくい。マスコミも司法判断に逆らわずに、容疑者を犯人視する報道をしてしまいがちです。

朴鐘顕被告
朴鐘顕被告
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そんななか、『クロ現』は朴被告の事件について独自に分析し、佳菜子さんの産後うつの状態など、法廷でしっかりと議論されていない部分に着目しました。朴被告が白か黒かを断定はしませんでしたが、裁判の足りない部分を指摘し、実質的にやりなおすべきだという内容でした。NHKが、有罪判決が2度出ている裁判についてこのように放送したことは司法記者界隈で大きな話題になりました」

朴被告は2022年4月配信の「週刊朝日」のインタビュー記事で佳菜子さんが第4子を出産してすぐに、子どもの1人に脳性麻痺があることが発覚し、自分を責めていたことを明かしている。事件当日にも、佳菜子さんは子どもの障害の関係で病院に行っていたといい、朴被告に「涙が止まらない」などと、精神的に正常ではない様子のメールを多数送っていた。

「基本的に殺人ありきで裁判が進んでしまったため、佳菜子さんの精神状態がどのようなものだったのかという部分についてなど、しっかりと調べられていないことを『クロ現』は問題視していました」(同記者)