最後と見られる3期目の“レガシー”は

今回の都知事選は当初、小池知事と蓮舫氏による事実上の“一騎打ち”と目され、対立の構図が盛んに報じられていた。しかし、蓋を開ければ蓮舫氏の得票は約128万票で全体3位に終わり、石丸氏が約165万票で2位につける善戦を見せた。

この躍進はちだい氏も予想外だったようで、安芸高田市長時代の石丸氏が地元でも賛否の激しい政治家だった点に言及しつつ、両候補の明暗を分けた要因にネットでの反響を挙げた。

「石丸氏は安芸高田市民から必ずしも支持されていたとは言えず、実際には都知事選で批判の声も多かったです。しかし、YouTubeで石丸氏を取り上げる動画が大量に出回るなどして、こうした声がかき消されていったように感じています。逆に、蓮舫氏は過去の答弁などをめぐる批判的な書き込みが広がり、マイナスなイメージが広がってしまいました」(ちだい氏)

大躍進の2位となり、今後が注目される石丸氏(本人SNSより)
大躍進の2位となり、今後が注目される石丸氏(本人SNSより)
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当選したが反発も多い小池氏、市長時代に批判も多かった石丸氏、思ったほど支持が広がらなかった蓮舫氏。三者三様の上位3名だが、得票率42・7%(前回は59・7%)での当選となった今回の都知事選には、過半数の人の失望が透けて見えてくる。

今回の当選で新たに4年の任期を手にした小池知事だが、任期満了時には75歳を迎える。高齢や多選の観点からはこれが最後になるとの見方が強い。

次期都知事選に出馬しない場合、必然的に当落も関心から外れ、自身が推進したい政策を強引にでも進めることが考えられる。これまで「レガシー」を繰り返し発してきた小池知事は、“小池都政のレガシー”に何を遺すのか。

「ひとつ心配されているのは、すでに宮城県では行われている水道の民営化。もうひとつは再開発で、神宮外苑をはじめ、日比谷公園、杉並の商店街、築地などを進めていきたいと思っているのでは。小池知事は再開発に関しては積極的なので、今後もハコモノや不動産は動かしていくのではないでしょうか」(ちだい氏)

この4年間、小池知事はどのような都政を運営していくのか。都民のさまざまな期待と不安を浴びながら、3期目が幕を開ける。

取材・文/集英社オンライン編集部