「仕事を評価する」は結果のみではNG

二番目の「仕事を評価する」ことは、別に文句を言ったり、批判することではなく、やっていただいた仕事の結果のみならず、その過程にも目を向けて、「いかに、こちらが助かったのか」を伝えるということです。

やってもらって、ここは良かった。この点に気を付けてもらえばもっと良くなる。「この部分は大変だっただろうな」と思うことに対して礼をもって伝えるということです。

これをやることで、相手のモチベーションを高めることができ、人間関係も強くなり、結果として仕事の質も変わってくるのです。

支払いに関しては、言わずもがなです。

コカ・コーラを日本一売った営業「これを守らないとブランドに傷がつく」…今でも大切にしている3つのルールとは_2

私はあるイギリス人の上司と上手くいかず、出向期間を終え帰任するにあたっても望む状況でないことから、コカ・コーラ社を離職し、一ヵ月ほど無職になった期間がありました。

この時に痛感したのが、本当に人の態度が変わるということでした。

会社という後ろ盾がなくなるとはこういうことかと思いました。会社を辞めた途端に掌を返したように言葉遣いが変わり、急に私を見下したような粗雑な態度をとる人がいるのです。

その一方で取引先の皆さんからは本当に優しい言葉を掛けていただき、なかには仕事を探してくれた方もいました。結局は元のコカ・コーラのグループ会社に収まったのですが、この時の経験は私のそれまでの人に対する意識を大きく変えました。その時、取引先の一人である秋田さんが私にこう言ってくれました。

「他の人は私たちを単なる仕事の振り先としか見ていないことが伝わってくるのです。嫌な思いをするということではないけど、一緒に仕事をしているという感じではなかったんです」と。続けて彼は「山岡さんはきちんと私のことを見てくれて、一緒に仕事をしてくれてありがたかった」と言ってくれました。

コカ・コーラを日本一売った営業「これを守らないとブランドに傷がつく」…今でも大切にしている3つのルールとは_3
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しかし、私がしていたことは至極、当然なことです。

やって欲しいこと、望む成果物を相手が理解してくれるまで伝えること、その成果を分かち合い、良かったこと、こうしたらもっと良くなることを話し、仕事に対する対価をきちんと払うこと、これだけです。思いがけない秋田さんの言葉から、改めて、三つのルールを守ることの大切さを知ることとなったのです。

仕事の向こうにある人を見る。この三つのルールをいまでも大切にしています。

文/山岡彰彦 写真/Shutterstock

コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌 (講談社+α新書)
山岡 彰彦
コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌 (講談社+α新書)
2024/6/20
990円(税込)
208ページ
ISBN: 978-4065361092

人はいつからでも、どこにいても成長できる!
Fラン大学出身、四国のボトリング社に入社するも、高松本社勤務の大学同期とはスタート地点から差をつけられて高知営業所のルートセールススタート。最初は「いつ辞めるか」だけを考えていたダメ新人が、セールス日本一、そして全国のボトラー社でも前例のない日本コカ・コーラ社への出向を果たす。
その裏には先輩・取引先をはじめ多くの人から教えてもらった机上ではけっして教われない「学び」があった。
大学・企業でも話題の、どんな仕事にも生かせる普遍的な学びを明かす。

〇習慣を味方につける
〇「売ってくる」のではなく、「買っていただく」
〇行動は言葉より雄弁
〇人は「自分事」で動く
〇枠の中で考えるのではなく枠をどうするか考える
〇昨日までの自分を模倣しない
〇見方を変えれば違うものが見えてくる
〇礼儀正しさと傾聴は最強の武器になる
〇「なぜその仕事は必要なの」を問い続ける

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