6年ぶり再タッグのドラマ主題歌で話題の小田和正、オフコースの原点は学園祭のホールステージだった!?
伝説のバンドグループ、オフコースはいかにして生まれたのか? その原点は、高校時代の学園祭までさかのぼる。まさに青春をぶつけて練習し、満員のホールで演奏を披露した経験は、いまも「すばらしい思い出」と小田和正氏は聞き手の阿部渉に語る――。
本稿は、小田和正著『時は待ってくれない 「100年インタビュー」保存版』(PHP文庫)を一部抜粋・再編集したものをお届けする。
『時は待ってくれない』#1
音楽が心から楽しかった
──ほかの生徒たちは、受験を控えて大変なときですね。当然、小田さんも大変だったと思うんですが。
それはもう、本当は音楽の練習より勉強しなくちゃいけないんだけど、「これが好きだから」っていう理屈があるから。もう好きだっていうことだけだね。
歌って、ハモッた瞬間はすごい楽しくて、何ものにも代えがたいものがある。ちょっと勉強の時間を削ってでもやりたいというくらい、音楽が楽しかったんだね。
──そして、2014年12月、在校生や先生、卒業生のための新校舎竣工記念ライブを、新しくなったこのホールでやられたんですね。
依頼されて3日間やったんだよ。大変だったな。
その最後に、在校生の前で『my home town』を歌ったときに、結構グッときちゃってね。いかん、いかんと思って。
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──『my home town』は、小田さんがふるさと横浜への思いを歌詞にされた曲ですが、そこでグッときたというのは、母校で歌うということへの思いですか。
まあ、いろいろなことがね。最初の歌詞が、「こゝで夢を見てた、この道を通った」っていう、まさにその場所だったからね。
──いろいろなライブで、小田さんがステージ上でこみ上げている姿を拝見しますが。
わりと、そういうの弱いですね、うん。できるだけクールにいようと思うんだけど、それを誓っても、やっぱり襲ってくるものに負けることがよくあるね。
著/小田和正 サムネイル/左:『時は待ってくれない 「100年インタビュー」保存版』(PHP文庫)より。右:Shutterstock
『時は待ってくれない』 (PHP文庫)
小田 和正
2024/4/3
990円(税込)
200ページ
ISBN: 978-4569904078
2017年8月13日、NHK・BSプレミアムの人物ドキュメント番組「100年インタビュー」で放送され、大反響だった「アーティスト小田和正~時は待ってくれない~」。
本書は、それを元に構成した単行本(2018年5月刊行)を文庫化したものです。
前半では幼少・少年時代、学生時代、オフコース時代、そしてソロ活動の時代と、小田和正氏の半生を振り返り、後半ではファンの思いに応えることなどのトピックスを紹介。
滅多に聴くことのできない小田氏のリアルな言葉と貴重な写真を所収しています。
中高一貫の進学校で野球部のキャプテンを務めながら練習中にいつも歌っていたこと。
鈴木康博氏との出会いがオフコースの原点だったこと。医学部から建築の道へと進路を変更し、大学院まで行った理由。
大ヒット曲「さよなら」「ラブ・ストーリーは突然に」誕生秘話。九死に一生を得た自動車事故で変わった人生観。メロディ、歌詞のつくり方……。
小田氏がずっと純粋に音楽が好きだということがひしひしと伝わってきます。
「うまくいったなと思うことは、全部、つらい思いをしたあとだった」「時は待ってくれないから、目いっぱい走った。でも、本当にがんばろうと思っている人には、時はきっと待ってくれる」――70歳の節目に語られた、小田和正氏の素顔と音楽への思い、未来を築く人たちへのエールが詰まった一冊!