都知事選でも響き渡る「ヘイヘイヘイ」

一方、告示後初の週末となった22、23日、現職知事の小池百合子候補と有力対抗馬の蓮舫候補は対照的ともいえる動きを見せた。

告示日に第一声を屋内で行い、多数の有権者を集めなかった小池氏は、22日は八丈島、23日は多摩地方と、東京の中の「地方」をターゲットに2期8年間の実績をアピール。

都市部ではないため大群衆を集めたわけではなかったが、高齢化が進む奥多摩町の演説会場に来た70代の女性は「よくこんな票数の少ない町まで足を運んでくれますね」と喜んでいた。

23日、奥多摩駅前で有権者と握手する小池百合子知事(撮影/集英社オンライン)
23日、奥多摩駅前で有権者と握手する小池百合子知事(撮影/集英社オンライン)

対する蓮舫氏は三軒茶屋と渋谷、錦糸町、池袋といったターミナルで、告示日から連続的に行なっている大規模街頭演説を実施。

24日の錦糸町での演説では共産党の参院議員が今回選挙で初めて街宣車の上で演説し、ともに小池都政のリセットを訴えた。

「23日に複数の報道機関が世論調査を基に報じた情勢では、小池知事がリードし、蓮舫氏、さらに石丸伸二候補が追う展開です。ただし、まだ投票する候補者を決めていない人も多く、現職の優位を持つ小池氏が逃げ切れるか、予断はできないでしょう」(社会部記者)

20日、新宿駅前で演説する蓮舫氏(撮影/集英社オンライン)
20日、新宿駅前で演説する蓮舫氏(撮影/集英社オンライン)

強い存在感をもつ現職は、他陣営からは当然、第一の打倒対象として目の敵にされる。

23日、都内では「つばさの党」の街宣車も出動した。「つばさの党」は先の衆院東京15区補欠選挙で他陣営の選挙運動を妨害した公選法違反容疑で代表の黒川敦彦容疑者が逮捕されている。

「ヘイヘイヘイ、経歴詐称疑惑でヘイヘイヘイ、カイロ大学経歴詐称、ヘイヘイヘイ、百合子、ヘイ、うそつき、ヘイ……」

と、東京15区の候補者たちが悩まされた「ヘイヘイヘイ」の掛け声があたりに響き渡っていた。

「ヘイヘイヘイ」というリズムに合わせて小池都知事の学歴詐称疑惑を追求する「つばさの党」の街宣車(撮影/集英社オンライン)
「ヘイヘイヘイ」というリズムに合わせて小池都知事の学歴詐称疑惑を追求する「つばさの党」の街宣車(撮影/集英社オンライン)

「黒川容疑者は保釈されていませんが知事選に立候補しました。内縁の妻で埼玉県朝霞市議の外山麻貴氏が6月13日に記者会見で読み上げた声明文では『私、黒川敦彦は逮捕され、今投獄中の身で立候補しています。日本は残念ながら権力者の気分で逮捕される国で、表現の自由はない』などと捜査への不満をぶちまけていました。

ただ、本人もいないので、今のところ東京15区でやったような他陣営への妨害は起きていないようです」(社会部記者)

また、内海聡候補は、小池氏と蓮舫氏を「ワクチン推しの2人」と呼ぶなど新型コロナウイルスのワクチン接種への批判を展開。

内海聡候補(撮影/集英社オンライン)
内海聡候補(撮影/集英社オンライン)

「内海候補の22日の街頭演説会場には緑の上下の『ニセ小池百合子』と白いスーツの『ニセ蓮舫』が登場するパフォーマンスを打っていました。小池知事とともに、蓮舫氏に対する他の候補からの攻撃も、これからさらに増えていくかもしれません」(社会部記者)

投開票は7月7日。これからは政策論争が熱く戦わされてほしいが、場外乱闘の記憶が長く残る選挙戦になりそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班