なぜ人は足を組んでしまうのか…

身体的な理由で足を組んでしまう人は、骨盤や背骨を含めた身体のバランスが崩れている可能性が高いという。

足を組む人のイメージ
足を組む人のイメージ
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「足を組むことで片側のお尻が持ち上がるので、同じ姿勢からくるお尻への圧を解消する目的もあります。このような姿勢でいることで、疲れにくく安定するという方もいるでしょう」(遠藤さん)

人には、自分の腕や足がどういう角度で、どれくらいの位置に、どれくらいの力が入っているのかなどをイメージできる能力、ボディイメージやボディマップという考え方があるというが、これもまた、足を組む理由につながってくるという。

「このボディイメージ(自己所有感)は、さまざまな要因で不明瞭になってしまいます。低下したボディイメージを再び獲得するために、身体は無意識に刺激を求めます。それが、みなさんがよくやる『腕を組む』『片足重心で立つ』『ポケットに手をいれる』『貧乏ゆすり』などです。とにかく身体に何かしらの刺激をいれることで、手足の位置や、姿勢の感覚(自己所有感)が鮮明にわかりやすくなります。『足を組む』もその一種ですね」(遠藤さん)

また、足を組むことはただ迷惑なだけでなく、整体の観点から考えると、身体に問題を引き起こす可能性がある。

「例えば、長時間同じ姿勢で足を組んでいると、血流が制限されたり、特定の筋肉や関節に過度の圧力がかかったりすることがあります。これが続くと、不快感や筋肉の緊張、姿勢の歪みなどの問題が生じる可能性があります。そのため、座る際には可能な限り正しい姿勢を保つことが重要です。足を組みたくなったら、代わりの姿勢をとる、お尻や背中の筋肉をストレッチすることがすぐできる対処法として有効です」(遠藤さん)

迷惑をかけるつもりはなくとも、つい無意識に足を組んでしまうこともある。足を組む癖がある人は、身体が悲鳴をあげている可能性がある。ストレッチなどをして自分の身体をすぐに労わってあげよう。

取材・文/集英社オンライン編集部